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家族性アルツハイマー病に関連するプレセニリン1変異体はSTIM1のΥ-セクレターゼ分解を促進してストア作動性Ca2+流入を障害する

Familial Alzheimer’s disease–associated presenilin 1 mutants promote γ-secretase cleavage of STIM1 to impair store-operated Ca2+ entry

Research Article

Sci. Signal. 06 Sep 2016:
Vol. 9, Issue 444, pp. ra89
DOI: 10.1126/scisignal.aaf1371

Benjamin Chun-Kit Tong1, Claire Shuk-Kwan Lee1, Wing-Hei Cheng1, Kwok-On Lai1,2, J. Kevin Foskett3, and King-Ho Cheung1,2,4,*

1 School of Biomedical Sciences, Li Ka Shing Faculty of Medicine, University of Hong Kong, Hong Kong, China.
2 State Key Laboratory of Brain and Cognitive Sciences, Li Ka Shing Faculty of Medicine, University of Hong Kong, Hong Kong, China.
3 Departments of Physiology and Cell and Developmental Biology, Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
4 HKU-Shenzhen Institute of Research and Innovation, Shenzhen, Guangdong, China.

* Corresponding author. Email: kingho.cheung@hku.hk

要約

いくつかの型の家族性アルツハイマー病(FAD)は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)などの標的タンパク質を切断するγ-セクレターゼ複合体の触媒成分である、プレセニリン(PS)の変異に起因する。このようなFADを引き起こすPS変異を有する細胞において、カルシウム(Ca2+)調節不全は、ストア作動性Ca2+流入[SOCE;容量性Ca2+ 流入(CCE)とも呼ばれる]の減弱に起因するとされている。CCEは、STIM1が小胞体(ER)内のCa2+の減少を検知し、ORAIチャネルを活性化させ、ERのCa2+ ストアを補充するときに発生する。われわれは、CCEが、PS1に伴うγ-セクレターゼ活性によって減弱されることを示した。ヒト神経芽腫SH-SY5Y細胞、患者線維芽細胞、マウス初代皮質ニューロンにおいて、内在性のPS1とSTIM1は相互作用した。FAD関連変異をもつ型のPS1は、STIM1膜貫通ドメインの、APPのγ-セクレターゼ切断配列に類似した配列における、γ-セクレターゼ切断を増強した。変異PS1を発現する培養海馬ニューロンでは、CCEが減弱され、樹状突起棘の不安定化を伴ったが、これは、γ-セクレターゼの阻害またはSTIM1の過剰発現によりレスキューされた。われわれの結果から、γ-セクレターゼ活性は、STIM1を標的とすることによってCCEを生理的に調節すると考えられ、STIM1を回復させることが、ADの治療法となる可能性があることが示されている。

Citation: B. C.-K. Tong, C. S.-K. Lee, W.-H. Cheng, K.-O. Lai, J. Kevin Foskett, K.-H. Cheung, Familial Alzheimer's disease&ndashl;associated presenilin 1 mutants promote γ-secretase cleavage of STIM1 to impair store-operated Ca2+ entry. Sci. Signal. 9, ra89 (2016).

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