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心血管系の老化と疾患においてGPERが担う必須の役割

Obligatory role for GPER in cardiovascular aging and disease

Research Article

Sci. Signal. 01 Nov 2016:
Vol. 9, Issue 452, pp. ra105
DOI: 10.1126/scisignal.aag0240

Matthias R. Meyer1,*,†,‡, Natalie C. Fredette1,*,§, Christoph Daniel2, Geetanjali Sharma1, Kerstin Amann2,Jeffrey B. Arterburn3, Matthias Barton4,‡,||, and Eric R. Prossnitz1,5,‡,||

1 Department of Internal Medicine, University of New Mexico Health Sciences Center, Albuquerque, NM 87131, USA.
2 Department of Nephropathology, Friedrich-Alexander-University of Erlangen-Nürnberg, Schlossplatz 4, 91054 Erlangen, Germany.
3 Department of Chemistry and Biochemistry, New Mexico State University, Las Cruces, NM 88003, USA.
4 Molecular Internal Medicine, University of Zürich, 8057 Zürich, Switzerland.
5 University of New Mexico Comprehensive Cancer Center, Albuquerque, NM 87106, USA.

‡ Corresponding author. Email: matthias.meyer@triemli.zuerich.ch (M.R.M.); barton@access.uzh.ch (M.B.); eprossnitz@salud.unm.edu (E.R.P.)

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, Triemli City Hospital, 8063 Zurich, Switzerland.

§ Present address: Department of Physiology, University of Florida, Gainesville, FL 32611, USA.

|| Co-senior authors of this work.

要約

ヘプタヘリカルGタンパク質共役エストロゲン受容体(GPER)を選択的リガンドで薬理学的に活性化させると、心血管疾患の症状の多くが解消される。そのためわれわれは、GPERの遺伝子欠損または薬理学的阻害によって、とくに加齢に伴う心血管疾患の症状がさらに悪化するものと予測した。ところが、マウスでGper遺伝子を欠損させると、とくにNoxのアイソフォームNox1の発現量が減少したことにより、NADPHオキシダーゼによるスーパーオキシド(O2)産生が減少し、加齢に関連した心血管症状が予防されることがわかった。アンジオテンシンIIに曝露された細胞と、アンジオテンシンIIを慢性的に注射されたマウスでは、低分子合成GPER選択的阻害薬(GRB)のG36でGPERの活性を薬理学的に阻害すると、Nox1量とO2産生量が基底量まで減少し、動脈性高血圧が軽減された。このように今回の研究は、Nox1量と、これに付随し、疾患の病理に寄与する、O2による構造的・機能的損傷とを調節するうえでGPERの活性が果たす役割を明らかにした。これらの結果は、GRBが新しい種類の薬物として、Noxの量と活性を減少させることができ、動脈性高血圧や心不全など、O2の過剰産生が関連する慢性疾患過程の治療に使用できる可能性があることを示している。

Citation: M. R. Meyer, N. C. Fredette, C. Daniel, G. Sharma, K. Amann, J. B. Arterburn, M. Barton, E. R. Prossnitz, Obligatory role for GPER in cardiovascular aging and disease. Sci. Signal. 9, ra105 (2016).

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