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鎮痛特性をもつ1型アデニル酸シクラーゼ活性の選択的低分子阻害剤の同定

Identification of a selective small-molecule inhibitor of type 1 adenylyl cyclase activity with analgesic properties

Research Article

Sci. Signal. 21 Feb 2017:
Vol. 10, Issue 467,
DOI: 10.1126/scisignal.aah5381

Tarsis F. Brust1, Doungkamol Alongkronrusmee1, Monica Soto-Velasquez1, Tanya A. Baldwin2, Zhishi Ye3, Mingji Dai3, Carmen W. Dessauer2, Richard M. van Rijn1, and Val J. Watts1,*

1 Department of Medicinal Chemistry and Molecular Pharmacology and Center for Drug Discovery, College of Pharmacy, Purdue University, 575 Stadium Mall Drive, West Lafayette, IN 47907, USA.
2 Department of Integrative Biology and Pharmacology, McGovern Medical School, University of Texas Health Science Center at Houston, Houston, TX 77030, USA.
3 Department of Chemistry and Centers for Cancer Research and Drug Discovery, College of Science, Purdue University, 720 Clinic Drive, West Lafayette, IN 47907, USA.

* Corresponding author. Email: wattsv@purdue.edu

要約

アデニル酸シクラーゼ1(AC1)は、カルモジュリン依存的にカルシウムにより刺激されるアデニル酸シクラーゼ(AC)の群に属する。AC1ノックアウトマウスを用いた研究は、AC1の阻害剤が疼痛およびオピオイド依存症の治療に有用である可能性を示唆している。しかしながら、ACアイソフォームの非選択的阻害は、相当の有害作用をもたらし得る。われわれは、化合物ライブラリースクリーニングを用いて、新たな鎮痛剤を代表する可能性のあるクロモンコア構造をもつ選択的AC1阻害剤を同定した。われわれは、化合物(ST034307)が、AC1で安定にトランスフェクトされたヒト胎児腎(HEK)細胞(HEK-AC1細胞)においてCa2+刺激による環状アデノシン3′,5′-一リン酸(cAMP)の蓄積を阻害することを示した後、膜結合型ACの全てのアイソフォームに対して試験することによりAC1への選択性を確かめた。ST034307はまた、HEK-AC1細胞のフォルスコリンおよびGαs共役受容体によって刺激されたAC1活性を阻害し、複数のAC1を含む細胞膜標品およびマウス海馬ホモジネートにおいて阻害活性を示した。ST034307は、μ-オピオイド受容体(MOR)で安定にトランスフェクトされたHEK-AC1細胞において短期阻害アッセイでAC1のMOR媒介性阻害を増強した。しかしながら、この化合物は、これらの細胞における慢性的MOR活性化により引き起こされるAC1の異種感作を遮断した。ST034307は、炎症性疼痛のマウスモデルにおいて疼痛反応を減少させた。これらのデータは、ST034307がAC1の選択的低分子阻害剤であることを示し、選択的AC1阻害剤が疼痛管理に有用である可能性を示唆する。

Citation: T. F. Brust, D. Alongkronrusmee, M. Soto-Velasquez, T. A. Baldwin, Z. Ye, M. Dai, C. W. Dessauer, R. M. van Rijn, V. J. Watts, Identification of a selective small-molecule inhibitor of type 1 adenylyl cyclase activity with analgesic properties. Sci. Signal. 10, eaah5381 (2017).

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