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細胞骨格の適応性がT細胞受容体シグナル伝達を調節する

Cytoskeletal adaptivity regulates T cell receptor signaling

Research Article

Sci. Signal. 07 Mar 2017:
Vol. 10, Issue 469,
DOI: 10.1126/scisignal.aah3737

Timothy J. Thauland1,2,*, Kenneth H. Hu3, Marc A. Bruce1, and Manish J. Butte1,2,3,*,†

1 Stanford Immunology, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA.
2 Division of Immunology, Allergy, and Rheumatology, Department of Pediatrics, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA.
3 Stanford Biophysics, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA.

† Corresponding author. Email: mbutte@mednet.ucla.edu

* Present address: Division of Immunology, Allergy, and Rheumatology, Department of Pediatrics, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA 90095, USA.

要約

T細胞活性化を支配する因子は、適応免疫応答の開始および進行を制御する。T細胞が、T細胞受容体を介して抗原提示細胞(APC)の表面にある対応する抗原を認識すると、2つの細胞間に接触部位(免疫シナプス)が形成され、T細胞が活性化される。活性化T細胞は増殖し、分化してエフェクターT細胞となり、サイトカインを分泌し、B細胞を助け、標的細胞を殺傷する。われわれは、アクチン細胞骨格が、エフェクターT細胞とナイーブ(非刺激)T細胞におけるシグナル伝達の差異を支配するのであろうかという疑問をもった。原子間力顕微鏡法と定量的共焦点顕微鏡法を用いて、われわれは、ナイーブT細胞が、エフェクター細胞と比べて機械的に硬い表層細胞骨格をもつために、APCとより小さな免疫シナプスを形成することを見出した。これは、T細胞が抗原刺激を受ける前の細胞骨格の硬さから、後のAPCとの動的な結合や活性化能が予測されることを示唆している。細胞骨格の硬さは、低分子量グアノシントリホスファターゼRhoAとキナーゼROCK(Rho活性化キナーゼ)およびLIMKを必要とする経路を介して、アクチン切断酵素コフィリンの活性に依存していた。これらの結果から、ベースラインの細胞骨格の状態がT細胞応答を制御しており、その基礎にある経路が、適応免疫を調節するための治療標的となる可能性があることが示唆される。

Citation: T. J. Thauland, K. H. Hu, M. A. Bruce, M. J. Butte, Cytoskeletal adaptivity regulates T cell receptor signaling. Sci. Signal. 10, eaah3737 (2017).

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