• ホーム
  • RAF1/BRAFの二量体化がRASからERKおよびROKαへのシグナルを統合する

RAF1/BRAFの二量体化がRASからERKおよびROKαへのシグナルを統合する

RAF1/BRAF dimerization integrates the signal from RAS to ERK and ROKα

Research Article

Sci. Signal. 07 Mar 2017:
Vol. 10, Issue 469,
DOI: 10.1126/scisignal.aai8482

Andrea Varga1, Karin Ehrenreiter1, Bertram Aschenbrenner1, Pawel Kocieniewski2, Marek Kochanczyk2, Tomasz Lipniacki2, and Manuela Baccarini1,*

1 Department of Microbiology, Immunology and Genetics, Max F. Perutz Laboratories, University of Vienna, Vienna, Austria.
2 Institute of Fundamental Technological Research, Polish Academy of Sciences, Warsaw, Poland.

* Corresponding author. Email: manuela.baccarini@univie.ac.at

要約

増殖因子受容体およびグアノシントリホスファターゼ(GTPase)RASの下流のセリン/スレオニンキナーゼであるBRAFとRAF1のヘテロ二量体は、マイトジェン活性化-細胞外シグナル制御プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)とその標的である細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)ファミリーを含むマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)モジュールの、重要な上流のキナーゼかつ活性化因子である。ERKモジュールの成分(MAPKKKであるBRAFおよびRAF1、MEK、ERK)間の直接的または足場タンパク質を介した相互作用が、シグナル伝達を促進する。またRAF1は、GTPase RHOのエフェクターで細胞骨格再編成の調節因子でもあるキナーゼROKαとの相互作用によって媒介される、腫瘍形成および遊走の制御にも不可欠な機能をもつ。われわれは変異動態解析と数学的モデルを組み合わせ、ERK経路ではRAF1とROKαの相互作用がRAF1の役割と連動していることを明らかにした。また、ROKαと相互作用してこれを阻害するリン酸化型RAF1が、RAF1とERKモジュールの相互作用の間に生成することを見出した。この機構はERK経路に可塑性を加え、ERKとRAFの両方のレベルでシグナルの多様性を可能にする。さらにこの機構は、ERK活性化と、RAF1によるROKα の制御および細胞骨格再編成とを結びつけることで、適切な増殖のタイミングと、細胞の形状、接着または遊走の変化を正確に調整することができる。

Citation: A. Varga, K. Ehrenreiter, B. Aschenbrenner, P. Kocieniewski, M. Kochanczyk, T. Lipniacki, M. Baccarini, RAF1/BRAF dimerization integrates the signal from RAS to ERK and ROKα. Sci. Signal. 10, eaai8482 (2017).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年3月7日号

Editors' Choice

紫外線が遺伝子の二重機能性を誘導する

Research Article

細胞骨格の適応性がT細胞受容体シグナル伝達を調節する

ステロイド産生因子1によるVAV2発現の用量依存性制御が副腎皮質がんの細胞浸潤を誘導する

RAF1/BRAFの二量体化がRASからERKおよびROKαへのシグナルを統合する

Research Resources

酵母における浸透圧ストレス応答のプロテインキナーゼ特異的エフェクターの同定

最新のResearch Article記事

2025年09月09日号

フソバクテリウム・ヌクレアタムは酪酸駆動型エピジェネティック機構を通じてアンフェタミン誘導行動応答を増強する

2025年09月02日号

一次感覚ニューロンのGαqシグナル伝達がオピオイドの鎮痛作用をNMDA受容体誘導性の耐性および痛覚過敏に変化させる

2025年09月02日号

MAPKおよびmTORC1シグナル伝達は収束してサイクリンD1タンパク質の産生を駆動することによってメラノーマのパーシスター(残存)細胞における細胞周期の再開を可能にしている

2025年08月26日号

大腸菌(Escherichia coli)のストレス誘導性低分子タンパク質の解析により、YoaIが別個のシグナル伝達系間のクロストークを調節することが明らかに

2025年08月19日号

Hox-C12はβ2-アドレノセプターのcAMP/カルシウムフィードフォワードループとの共役を調整してトリプルネガティブ乳がんの浸潤を促進する