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Arabidopsis ATXR2はLBD遺伝子のプロモーターにH3K36me3を蓄積させ、細胞脱分化を促進する

Arabidopsis ATXR2 deposits H3K36me3 at the promoters of LBD genes to facilitate cellular dedifferentiation

Research Article

Sci. Signal. 28 Nov 2017:
Vol. 10, Issue 507, eaan0316
DOI: 10.1126/scisignal.aan0316

Kyounghee Lee, Ok-Sun Park, and Pil Joon Seo*

Department of Biological Sciences, Sungkyunkwan University, Suwon 16419, Republic of Korea.

* Corresponding author. Email: pjseo1@skku.edu

要約
分化した体細胞の多能性幹細胞への移行である細胞脱分化は植物における発生可塑性を保証し、創傷の治癒に寄与する。創傷が生じると、創傷部位に生じるカルスと呼ばれる未組織の多能性細胞塊の形成が誘導される。外植片細胞はin vitroでもカルス組織を形成する。高等真核生物における可逆的な細胞分化‐脱分化プロセスは主にクロマチン修飾によって制御されている。本研究では、カルス形成中に、リシン36がトリメチル化されているヒストンH3タンパク質の蓄積を促進するヒストンリシンメチルトランスフェラーゼARABIDOPSIS TRITHORAX-RELATED 2(ATXR2)が、LATERAL ORGAN BOUNDARIES DOMAIN (LBD)遺伝子の活性化を介して細胞脱分化の初期段階を促進することを示した。 Arabidopsis thalianaLBD遺伝子は細胞脱分化中に活性化され、カルスの形成を促進する。Arabidopsis atxr2 変異体の葉外植体ではカルス形成能が低下しており、LBD 遺伝子発現が大幅に少なかった。ATXR2はLBD遺伝子のプロモーターに結合し、これらのプロモーターにおけるH3K36me3の蓄積に必要であった。ATXR2は転写因子AUXIN RESPONSE FACTOR 7(ARF7)およびARF19によって転写因子LBDプロモーターに動員された。arf7-1arf19-2 二重変異体の葉外植体はカルス形成不全であり、LBDプロモーターにおけるH3K36me3蓄積が少なかった。遺伝解析の結果、ARF7およびARF19が、ATXR2のLBD遺伝子発現促進能に必要であることがさらに裏付けられた。これらの知見から、ATXR2-ARF-LBD軸がArabidopsisにおけるカルス形成のエピジェネティック調節に重要であることが示された。

Citation: K. Lee, O.-S. Park, P. J. Seo, Arabidopsis ATXR2 deposits H3K36me3 at the promoters of LBD genes to facilitate cellular dedifferentiation. Sci. Signal. 10, eaan0316 (2017).

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