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制御性T細胞サブセットの恒常性および発生の変化が、NODマウスにおける糖尿病のIL-2R依存性リスクを説明する
Altered homeostasis and development of regulatory T cell subsets represent an IL-2R-dependent risk for diabetes in NOD mice
Sci. Signal. 19 Dec 2017:
Vol. 10, Issue 510, eaam9563
DOI: 10.1126/scisignal.aam9563
Connor J. Dwyer1, Allison L. Bayer1,2, Carmen Fotino2, Liping Yu3, Cecilia Cabello-Kindelan2, Natasha C. Ward1, Kevin H. Toomer1, Zhibin Chen1,2, and Thomas R. Malek1,2,*
1 Department of Microbiology and Immunology, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, FL 33136, USA.
2 Diabetes Research Institute, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, FL 33136, USA.
3 Barbara Davis Center for Childhood Diabetes, University of Colorado School of Medicine, Aurora, CO 80045, USA.
* Corresponding author. Email: tmalek@med.miami.edu
要約
サイトカインのインターロイキン-2(IL-2)は、制御性T細胞(Tregs)の機能にきわめて重要である。自己免疫は複数の遺伝子の多様性に依存し、その場合、いずれか1つの遺伝子産物の寄与は小さいため、1型糖尿病に関連する、IL-2受容体αサブユニットをコードする遺伝子(IL2RA)の多型の寄与を検討することは困難である。われわれは、Tリンパ球における選択的なIL-2Rシグナル伝達のわずかな低下が、NODマウスモデルの糖尿病発症に影響を及ぼす機構を検討した。野生型IL-2Rβと、シグナル伝達が低下した変異サブユニット(IL-2RβY3)を共発現するマウス(NOD-Y3と命名)のTregsにおいては、IL-2Rシグナル伝達の感受性が約2〜3倍低下した。雄および雌NOD-Y3マウスにおいては、Tregsでの複数の活性に対する内因的作用に起因する、糖尿病発症の加速が認められた。骨髄キメラおよび養子細胞移植実験により、IL-2RβY3 Tregsは、リンパ系に存在する中枢性Tregsの恒常性の障害と、高度に活性化されたエフェクターTregs発生の効率低下を引き起こすこと、また、これらの細胞は抑制性が低いことが示された。膵IL-2RβY3 Tregsには、IL-10分泌性エフェクターTregsへの発生障害が認められた。NOD-Y3マウスの膵リンパ節と膵臓では、抗原経験CD4+エフェクターT細胞の数が増加し、これは主にTregsの障害に起因した。というのも、NOD-Y3マウスから養子細胞移植した膵自己抗原特異的CD4+ Foxp3− T細胞は、NOD.SCIDレシピエントにおいて糖尿病を加速させなかったためである。われわれの研究から、IL-2Rシグナル伝達の慢性的な軽度の低下に伴う一次欠損は、機能性の高い組織探索性エフェクターTreg サブセットを効果的に産生・維持できない、Tregs 障害に起因することが示されている。
Citation: C. J. Dwyer, A. L. Bayer, C. Fotino, L. Yu, C. Cabello-Kindelan, N. C. Ward, K. H. Toomer, Z. Chen, T. R. Malek, Altered homeostasis and development of regulatory T cell subsets represent an IL-2R-dependent risk for diabetes in NOD mice. Sci. Signal. 10, eaam9563 (2017).