• ホーム
  • IL-2Rβの存在量はCD4+およびCD8+T細胞におけるIL-2シグナル伝達動態を差次的に調整する

IL-2Rβの存在量はCD4+およびCD8+T細胞におけるIL-2シグナル伝達動態を差次的に調整する

IL-2Rβ abundance differentially tunes IL-2 signaling dynamics in CD4+ and CD8+ T cells

Research Article

Sci. Signal. 19 Dec 2017:
Vol. 10, Issue 510, eaan4931
DOI: 10.1126/scisignal.aan4931

Geoffrey A. Smith1,2, Jack Taunton1, and Arthur Weiss2,3,*

1 Department of Cellular and Molecular Pharmacology, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.
2 Rosalind Russell and Ephraim P. Engleman Arthritis Research Center, Division of Rheumatology, Department of Medicine, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.
3 Howard Hughes Medical Institute, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.

* Corresponding author. Email: arthur.weiss@ucsf.edu

要約
インターロイキン-2(IL-2)は、活性化CD4+およびCD8+T細胞の両方を刺激して増殖させる。IL-2は、両方の細胞型において、同一の受容体複合体を介してシグナルを伝え、カノニカル転写因子STAT5の用量依存的リン酸化を同様に促進する。それにもかかわらず、CD8+T細胞は、IL-2に応答してCD4+T細胞より早くS期に入り、より増殖する。われわれは、CD4+およびCD8+T細胞においてIL-2シグナル伝達動態が異なることを特定した。IL-2刺激CD8+T細胞において、STAT5のリン酸化は急速に増加し、6時間持続した。対照的に、CD4+T細胞は、刺激後15分および2から4時間で最大値をもつ二相性応答を示した。両方の細胞型が小胞輸送を必要としたが、CD4+T細胞のみが、STAT5の高いリン酸化を維持するため新たなタンパク質合成を必要とした。IL-2受容体の2つのサブユニット、IL-2RβおよびIL-2Rγの存在量は、CD8+T細胞においてCD4+T細胞の2倍であった。IL-2Rβ存在量の50%を削減するだけで、CD8+T細胞をCD4+T細胞様シグナル伝達様式に変換し、S期への進入を遅らせることができた。これらの結果は、CD8+T細胞におけるIL-2Rβ鎖のより大きなプールが、IL-2シグナル伝達を維持するのに必要とされ、CD4+T細胞のものに比べてIL-2に対する定量的により大きな増殖応答に寄与することを示唆する。IL-2Rβ存在量のこの細胞型特異的差異は、CD4+T細胞の広範な自己免疫増殖を潜在的に防止しながら、なおウイルス感染を制御するのに十分なCD8+T細胞の増殖を可能にする応答を調整するようである。

Citation: G. A. Smith, J. Taunton, A. Weiss, IL-2Rβ abundance differentially tunes IL-2 signaling dynamics in CD4+ and CD8+ T cells. Sci. Signal. 10, eaan4931 (2017).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年12月19日号

Editors' Choice

ハイライト:IL-2受容体のシグナル伝達

Research Article

制御性T細胞サブセットの恒常性および発生の変化が、NODマウスにおける糖尿病のIL-2R依存性リスクを説明する

IL-2Rβの存在量はCD4+およびCD8+T細胞におけるIL-2シグナル伝達動態を差次的に調整する

mGluR5拮抗作用はオートファジーを亢進させ、ハンチントン病のzQ175マウスモデルにおいて疾患の進行を妨げる

発がん性PI3Kはシスチン-グルタミン酸対向輸送体xCTを介して乳がん細胞のメチオニン依存性を促進する

最新のResearch Article記事

2025年03月11日号

骨髄のサーチュイン6欠損はノルエピネフリンの分解を誘導することによって発熱性組織機能を制限してマウスの肥満を引き起こす

2025年03月11日号

NEMOはキナーゼIKKαおよびATMのDNA損傷部位への誘導に不可欠である

2025年03月04日号

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

2025年02月25日号

グルタミン酸作動性のアルゴノート2がマウスにおいて神経血管ユニットの形成を促進する

2025年02月18日号

バソプレシン2型受容体が媒介する持続的Gαsシグナル伝達はリガンド依存性だがエンドサイトーシスとβ-アレスチンには依存しない