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細胞内ピリジン5′-ヌクレオチダーゼNT5C3Aはインターフェロンおよびサイトカインシグナル伝達における負のエピジェネティック因子である

The intracellular pyrimidine 5′-nucleotidase NT5C3A is a negative epigenetic factor in interferon and cytokine signaling

Research Article

Sci. Signal. 20 Feb 2018:
Vol. 11, Issue 518, eaal2434
DOI: 10.1126/scisignal.aal2434

Latifa Al-Haj and Khalid S. A. Khabar*

King Faisal Specialist Hospital and Research Centre, Riyadh 11211, Saudi Arabia.

* Corresponding author. Email: khabar@kfshrc.edu.sa

要約

ヌクレオチドの異化を媒介する酵素であるピリジン5′-ヌクレオチダーゼ(NT5C3A)は、血球に限局していると以前は考えられていた。われわれは、NT5C3Aをコードする遺伝子の発現が、複数の細胞種においてI型インターフェロン(IFN)により誘導されること、しかもNT5C3Aは核因子κB(NF-κB)経路の阻害を通じてサイトカイン産生を抑制することを明らかにした。NT5C3Aの発現は、イントロン内のIFNにより刺激される応答エレメント、並びにIFNにより刺激される転写因子IRF1を必要とした。NT5C3Aの過剰発現はHEK293細胞によるIL-8産生を抑制したが、その触媒変異体の過剰発現はそれを抑制しなかった。NT5C3Aのノックダウンは、腫瘍壊死因子(TNF)により刺激されたIL-8産生を亢進したが、iIFNを介したIl8の発現抑制を減弱させた。NT5C3Aの過剰発現はNAD+の存在量を増加させ、NAD+依存性脱アセチル化酵素であるサーチュインSIRT1およびSIRT6の活性化を亢進した。NT5C3Aによりサーチュイン活性が刺激されることで、ヒストンH3およびNF-κBサブユニットRelA(別名p65)(これらはいずれも、Il8プロモーターの近位領域で会合している)の脱アセチル化に至り、それによりIl8の転写を抑制した。まとめるとこれらのデータから、NT5C3Aの触媒活性に依存し、炎症性サイトカインシグナル伝達の負のフィードバック制御因子としての働く抗炎症経路が同定された。

Citation: L. Al-Haj, K. S. A. Khabar, The intracellular pyrimidine 5′-nucleotidase NT5C3A is a negative epigenetic factor in interferon and cytokine signaling. Sci. Signal. 11, eaal2434 (2018).

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