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GAPDHのニトロシル化はアミロイドβ曝露時の病的なタウのアセチル化を増強する

Nitrosylation of GAPDH augments pathological tau acetylation upon exposure to amyloid-β

Research Article

Sci. Signal. 20 Mar 2018:
Vol. 11, Issue 522, eaao6765
DOI: 10.1126/scisignal.aao6765

Tanusree Sen, Pampa Saha, and Nilkantha Sen*

Department of Neurological Surgery, University of Pittsburgh, 200 Lothrop Street, Scaife Hall, Pittsburgh, PA 15213, USA.

* Corresponding author. Email: senn@pitt.edu

要約

微小管結合タンパク質であるタウのアセチル化は、タウが重合して、アルツハイマー病(AD)の病理に関与する神経原線維変化を形成するのを促す。ガス状の神経伝達物質である一酸化窒素(NO)は、タンパク質のニトロシル化を通して細胞のシグナル伝達を制御する。われわれは、マウスの脳組織および培養したマウスの皮質ニューロンでは、これもADとの関与が示されているペプチドであるアミロイド-β1-42(Aβ1-42)への曝露に応答して、NOの産生およびタウのLys280でのアセチル化が生じることを見出した。NOの存在量の増加は、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のS-ニトロシル化(SNO)を促進した。S-ニトロシル化GAPDH(GAPDH-SNO)はアセチルトランスフェラーゼp300のアセチル化および活性化を促し、脱アセチル化酵素であるサーチュイン1(SIRT1)のニトロシル化および不活化を促進した。AD患者の死後脳検体ではGAPDH-SNOの存在量が増加していた。培養ニューロンおよびマウスの両方で、GAPDH(GAPDH C150S)のニトロシル化部位変異体の過剰発現、またはGAPDHニトロシル化阻害薬であるCGP3466B(別名omigapil)の処理により、GAPDH-SNO存在量の増加を抑制したとき、マウスにおけるAβ1-42誘導性のタウのアセチル化、記憶障害および運動機能障害が消失した。このことは、本剤がAD患者の治療に利用できる可能性を示唆している。

Citation: T. Sen, P. Saha, N. Sen, Nitrosylation of GAPDH augments pathological tau acetylation. Sci. Signal. 11, eaao6765 (2018). upon exposure to amyloid-β

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