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チロシンホスファターゼSHP2をコードする遺伝子の機能獲得突然変異は触媒活性依存的に水頭症を誘発する

Gain-of-function mutations in the gene encoding the tyrosine phosphatase SHP2 induce hydrocephalus in a catalytically dependent manner

Research Article

Sci. Signal. 20 Mar 2018:
Vol. 11, Issue 522, eaao1591
DOI: 10.1126/scisignal.aao1591

Hong Zheng1, Wen-Mei Yu1, Ronald R. Waclaw2, Maria I. Kontaridis3, Benjamin G. Neel4, and Cheng-Kui Qu1,*

1 Aflac Cancer and Blood Disorders Center, Department of Pediatrics, Children's Healthcare of Atlanta, Emory University School of Medicine, Atlanta, GA 30322, USA.
2 Divisions of Experimental Hematology and Cancer Biology, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA.
3 Department of Medicine, Division of Cardiology, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
4 Laura and Isaac Perlmutter Cancer Center, New York University, New York, NY 10016, USA.

* Corresponding author. Email: cheng-kui.qu@emory.edu

要約

タンパク質チロシンホスファターゼSHP2をコードするPtpn11の触媒活性化突然変異は、50%のヌーナン症候群(NS)症例の原因であるが、Ptpn11の不活性化突然変異は、類似しているが異なる発達障害、多発性黒子症を伴うヌーナン症候群(NSML、以前はLEOPARD症候群と呼ばれた)のほぼすべての症例の責任遺伝子である。しかしながら、両型の疾患変異は、SHP2に開かれた立体構造を恒常的にとらせるため、機能獲得型変異である。われわれは、SHP2の触媒活性が、機能獲得型の疾患関連突然変異によるマウスの水頭症発症に及ぼす病原的効果に必要であることを見出した。活性SHP2 E76K突然変異体をコードするPtpn11対立遺伝子の汎ニューロン性標的化ノックインは、上衣細胞およびその繊毛の異常発生により、水頭症を引き起こした。これらE76K突然変異の病原的効果は、SHP2の触媒活性を失わせる突然変異C459Sを付加することにより抑圧された。さらに、不活性SHP2突然変異Y279Cを有するNSMLマウスの上衣細胞もまた影響を受けなかった。機構的には、SHP2 E76K突然変異体は、転写活性化因子STAT3の脱リン酸化および阻害を増強することにより、上衣細胞の発生異常を誘導した。Ptpn11E76K/+細胞ではSTAT3活性が低下したのに対し、キナーゼERKおよびAKTの活性が増強され、神経細胞特異的Stat3ノックアウトマウスも上衣細胞および繊毛の発生異常を示した。これらの遺伝的および生化学的データは、水頭症の病因におけるSHP2機能獲得型疾患突然変異体の触媒活性依存的役割を実証する。

Citation: H. Zheng, W.-M. Yu, R. R. Waclaw, M. I. Kontaridis, B. G. Neel, C.-K. Qu, Gain-of-function mutations in the gene encoding the tyrosine phosphatase SHP2 induce hydrocephalus in a catalytically dependent manner. Sci. Signal. 11, eaao1591 (2018).

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