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IKKはLKB1欠損細胞において、サイトカイン誘導性およびがんに関連したAMPK活性を促進し、フェンホルミン誘導性細胞死を抑制する
IKK promotes cytokine-induced and cancer-associated AMPK activity and attenuates phenformin-induced cell death in LKB1-deficient cells
Sci. Signal. 10 Jul 2018:
Vol. 11, Issue 538, eaan5850
DOI: 10.1126/scisignal.aan5850
Ricardo J. Antonia1,2 and Albert S. Baldwin1,2,*
1 Lineberger Comprehensive Cancer Center, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC 27599, USA.
2 Curriculum in Genetics and Molecular Biology, University of North Carolina at Chapel Hill, Chapel Hill, NC 27599, USA.
* Corresponding author. Email: albert_baldwin@med.unc.edu
要約
5′AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)は、キナーゼであるLKB1、CAMKK2またはTAK1によりその活性化ループ内のThr172がリン酸化されることで活性化される、1種のエネルギーセンサーである。しかし、TAK1依存性AMPKThr172のリン酸化は、LKB1またはCAMKK2によるこの部位のリン酸化に比べ、十分に明らかにされていない。TAK1の1つの重要な標的は、転写因子NF-κBの活性化を制御しているIκBキナーゼ(IKK)である。われわれは、IKKがTAK1の下流で作用しThr172をリン酸化することでAMPKを活性化する、という仮説を検証した。炎症性サイトカインであるIL-1βあるいはTNF-αによる処理への応答として、またはTAK1の過剰発現によりAMPK中のThr172がリン酸化するためには、IKKが必要であった。さらにIKKは、TAK1とは独立して、複数のがん細胞種においてベースとなるAMPK Thr172のリン酸化を調節した。このことは、ほかのIKK活性化様式がAMPKを刺激する可能性を示唆している。われわれは、IKKが、腫瘍抑制因子であるLKB1またはエネルギーストレスとは独立して、Thr172部位でAMPKを直接リン酸化することを見出した。それにより、LKB1欠損細胞におけるIKKの阻害は、ミトコンドリア阻害薬であるフェンホルミンに応答したAMPK Thr172のリン酸化を抑制した。この応答によりアポトーシスの増強にいたった。このことは、LKB1欠損がんを有する患者の治療に、IKKの阻害とフェンホルミンの併用が臨床的に使用できる可能性を示唆している。
Citation: R. J. Antonia, A. S. Baldwin, IKK promotes cytokine-induced and cancer-associated AMPK activity and attenuates phenformin-induced cell death in LKB1-deficient cells. Sci. Signal. 11, eaan5850 (2018).