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μオピオイド受容体の急速な脱感作におけるGRKおよびアレスチンとの持続的な相互作用には多部位のリン酸化が必要である

Multisite phosphorylation is required for sustained interaction with GRKs and arrestins during rapid μ-opioid receptor desensitization

Research Article

Sci. Signal. 17 Jul 2018:
Vol. 11, Issue 539, eaas9609
DOI: 10.1126/scisignal.aas9609

Elke Miess1,*, Arisbel B. Gondin2,*, Arsalan Yousuf3,*, Ralph Steinborn1, Nadja Mösslein4, Yunshi Yang4, Martin Göldner4, Julia G. Ruland4, Moritz Bünemann4, Cornelius Krasel4, MacDonald J. Christie3, Michelle L. Halls2, Stefan Schulz1,†, and Meritxell Canals2,†

1 Department of Pharmacology and Toxicology, Jena University Hospital-Friedrich Schiller University Jena, D-07747 Jena, Germany.
2 Drug Discovery Biology Theme, Monash Institute of Pharmaceutical Sciences, Monash University, Victoria 3052, Australia.
3 Discipline of Pharmacology, University of Sydney, New South Wales 2006, Australia.
4 Department of Pharmacology and Toxicology, Philipps-University Marburg, D-35043 Marburg, Germany.

† Corresponding author. Email: stefan.schulz@med.uni-jena.de (S.S.); meri.canals@monash.edu (M.C.)

* These authors contributed equally to this work.

要約

Gタンパク質受容体キナーゼ(GRK)とβアレスチンは、μオピオイド受容体(MOR)のシグナル伝達および輸送の重要な調節因子である。われわれは以前に、DAMGOなどの高活性オピオイドが、GRK2/3に媒介された、保存されたC末端尾部のセリン残基およびスレオニン残基の多部位リン酸化を刺激し、それが受容体の内部移行を促進することを示した。対照的に、モルヒネに誘導されるMORのリン酸化はSer375に限られており、受容体の内部移行を実質的に駆動するには不十分である。本稿では、特異的な多部位リン酸化がGRKおよびβアレスチンとMORとの相互作用の動態を調節することを報告し、そのようなリン酸化が受容体脱感作を媒介する仕組みを示す。われわれは、DAMGOによって活性化されたMORのもとにGRK2/3がβアレスチンよりも迅速に動員されることを明らかにした。βアレスチンの動員には、GRK2の活性とMORのリン酸化が必要であったが、GRKの動員も、C末端尾部のリン酸化部位、なかでも370TREHPSTANT379モチーフ内にある、合わせて4つのセリン残基およびトレオニン残基に依存した。これらの結果から、最初にみられるGRKとβアレスチンの一過性の動員にこのモチーフ外の他の残基が関与することも示唆された。さらに、われわれは高活性アゴニストによるMOR脱感作を構成する2つの作用を同定した。1つは、GRK2に媒介されるリン酸化と何らかの可溶性因子を必要とする持続的な作用であり、もう1つは、GRK2に媒介されている可能性があるが受容体のリン酸化とは独立して急速に起こる作用である。これらの複雑な受容体・エフェクター間相互作用を解明すれば、寛容と依存を引き起こすMORの脱感作機構の解明に向けた重要な一歩となる。

Citation: E. Miess, A. B. Gondin, A. Yousuf, R. Steinborn, N. Mösslein, Y. Yang, M. Göldner, J. G. Ruland, M. Bünemann, C. Krasel, M. J. Christie, M. L. Halls, S. Schulz, M. Canals, Multisite phosphorylation is required for sustained interaction with GRKs and arrestins during rapid μ-opioid receptor desensitization. Sci. Signal. 11, eaas9609 (2018).

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