• ホーム
  • がん細胞におけるヌクレオチド交換の標的化による構成的活性化型Gタンパク質αサブユニットの阻害

がん細胞におけるヌクレオチド交換の標的化による構成的活性化型Gタンパク質αサブユニットの阻害

Targeting nucleotide exchange to inhibit constitutively active G protein α subunits in cancer cells

Research Article

Sci. Signal. 04 Sep 2018:
Vol. 11, Issue 546, eaao6852
DOI: 10.1126/scisignal.aao6852

Michael D. Onken1,*, Carol M. Makepeace2, Kevin M. Kaltenbronn2, Stanley M. Kanai2, Tyson D. Todd2, Shiqi Wang1, Thomas J. Broekelmann2, Prabakar Kumar Rao3, John A. Cooper1,2, and Kendall J. Blumer2,*

1 Department of Biochemistry and Molecular Biophysics, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
2 Department of Cell Biology and Physiology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
3 Department of Ophthalmology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.

* Corresponding author. Email: mdonken@wustl.edu (M.D.O.); kblumer@wustl.edu (K.J.B.)

要約

構成的活性化型Gタンパク質αサブユニットはがん、コレラ、スタージ・ウェーバー症候群およびその他の疾患を引き起こす。これらの疾患において構成的活性化型Gαサブユニットを標的に阻害することによる治療的介入は、未だ達成されていない。われわれはブドウ膜メラノーマ(UM)細胞における構成的活性化型Gαqが、環状デプシペプチドであるFR900359(FR)により阻害されることを見出した。FRはグアノシン二リン酸-グアノシン三リン酸(GDP/GTP)交換をアロステリックに阻害し、構成的活性化型Gαqを不活性なGDP結合型Gαβγヘテロ三量体へと捕捉した。他のGαサブユニットのアロステリックな阻害は、FR結合部位の導入によって達成された。構成的活性化型Gαqにより誘導されたUM細胞では、FRがセカンドメッセンジャーのシグナル伝達を阻害し、細胞増殖を停止させ、メラノサイトの分化を回復させ、アポトーシスを促進した。一方、BRAF誘導性のUM細胞にはFRは影響しなかった。FRは、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)を介した遺伝子サイレンシングを再活性化することでUM細胞の分化を促進し、これは、これまで認識されていなかった、UMにおける構成的活性化型Gαqのエフェクター系であった。したがって構成的活性化型GαqとPRC2は、UMの治療標的となる。単一の受容体の標的化が有効でない、構成的活性化型Gαサブユニットまたは複数のGタンパク質共役受容体により惹起される疾患に対して、Gαサブユニットの他のサブタイプに特異的なFRアナログの開発によって、新たな治療アプローチが得られると考えられる。

Citation: M. D. Onken, C. M. Makepeace, K. M. Kaltenbronn, S. M. Kanai, T. D. Todd, S. Wang, T. J. Broekelmann, P. K. Rao, J. A. Cooper, K. J. Blumer, Targeting nucleotide exchange to inhibit constitutively active G protein α subunits in cancer cells. Sci. Signal. 11, eaao6852 (2018).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年9月4日号

Editor's Choice

グルココルチコイドとPD-1

Research Article

ストレス状況下で、細胞はtRNA量を変化させてタンパク質合成を選択的に調節する

がん細胞におけるヌクレオチド交換の標的化による構成的活性化型Gタンパク質αサブユニットの阻害

シュードキナーゼMLKLはネクローシス性好中球におけるPAD4依存的NET形成を活性化する

発がん性RASアイソフォームによりグアニンヌクレオチド交換因子SOS2が細胞形質転換を媒介する際の階層的要件が示される

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する