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細胞活性化に対する個々のリガンド-受容体結合事象の確率論的順序のマッピング:T細胞はまれな事象に応答する

Mapping the stochastic sequence of individual ligand-receptor binding events to cellular activation: T cells act on the rare events

Research Article

Sci. Signal. 15 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 564, eaat8715
DOI: 10.1126/scisignal.aat8715

Jenny J. Y. Lin*, Shalini T. Low-Nam*, Katherine N. Alfieri, Darren B. McAffee, Nicole C. Fay, and Jay T. Groves§

Department of Chemistry, University of California, Berkeley, Berkeley, CA 94720, USA.

§ Corresponding author. Email: jtgroves@lbl.gov

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Stanford ChEM-H, Stanford University, Stanford, CA 94305, USA.

‡ Present address: Juvena Therapeutics Inc., 2627 Hanover Street, Palo Alto, CA 94304, USA.

要約

アゴニストペプチド主要組織適合抗原複合体(pMHC)へのT細胞受容体(TCR)の結合は、T細胞応答を開始させるシグナル伝達事象を引き起こす。この系は、非常に敏感であり、細胞応答を首尾よく活性化するのにわずかな結合事象しか必要としない。活性化pMHCリガンドは、TCRに結合した場合、少なくとも数秒の平均滞留時間を示す。しかしながら、T細胞は、個々の滞留時間が広く分散している個別の単一分子結合事象の確率論的な連続としてpMHC-TCR相互作用を蓄積する。ほんの一握りのそのような結合事象に対して活性化が起こるため、個々の細胞が平均結合時間を経験する可能性は低い。本研究では、pMHC-TCR結合事象の集合を時空間的にマッピングし、同時に細胞の活性化をモニターした。われわれの知見は、T細胞活性化が、平均アゴニストpMHC-TCR滞留時間よりも一桁長い、まれな長滞留時間の結合事象に依存することを明らかにした。さらに、空間的に相関し、時間的に連続した短いpMHC-TCR結合事象が細胞活性化をもたらすことを観察した。これらの観察結果は、T細胞抗原の識別が、その平均的な性質よりもむしろpMHC-TCR結合滞留時間分布の最後を感知することによって起こる可能性が高いことを示している。

Citation: J. J. Y. Lin, S. T. Low-Nam, K. N. Alfieri, D. B. McAffee, N. C. Fay, J. T. Groves, Mapping the stochastic sequence of individual ligand-receptor binding events to cellular activation: T cells act on the rare events. Sci. Signal. 12, eaat8715 (2019).

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