• ホーム
  • IRF6とTAK1はHIPK2の活性化を協調的に亢進し、口蓋癒合過程のアポトーシスを促進する

IRF6とTAK1はHIPK2の活性化を協調的に亢進し、口蓋癒合過程のアポトーシスを促進する

IRF6 and TAK1 coordinately promote the activation of HIPK2 to stimulate apoptosis during palate fusion

Research Article

Sci. Signal. 06 Aug 2019:
Vol. 12, Issue 593, eaav7666
DOI: 10.1126/scisignal.aav7666

Chen-Yeh Ke1,2, Hua-Hsuan Mei1, Fen-Hwa Wong2,*, and Lun-Jou Lo1,*

1 Department of Plastic and Reconstructive Surgery, and Craniofacial Research Center, Chang Gung Memorial Hospital, Chang Gung University, Taoyuan, Taiwan
2 Department of Life Sciences and Institute of Genome Sciences, National Yang-Ming University, Taipei, Taiwan

* Corresponding author. Email: fhwa@ym.edu.tw (F.-H.W.); lunjoulo@cgmh.org.tw (L.-J.L.)

要約

口蓋裂は、口蓋の癒合不全によって生じる、よく見られる頭蓋顔面異常である。口蓋棚は両側から中央に向かって移動し、胚の正中で癒合してシーム(継ぎ目)が作られる。口蓋癒合の完了には、このシームに沿って位置する細胞である内側縁上皮(MEE)のトランスフォーミング増殖因子β3(TGF-β3)に誘導されるアポトーシスが必要である。転写因子のインターフェロン制御因子6(IRF6)は、転写因子ΔNp63の分解を刺激し、サイクリン依存性キナーゼ阻害物質p21をコードする遺伝子の発現を促進することによって、TGF-β3に誘導されるMEE細胞のアポトーシスを亢進する。ホメオドメイン相互作用プロテインキナーゼ2(HIPK2)はヒトがん細胞においてIRF6の下流で機能し、ケラチノサイトにおいてΔNp63タンパク質分解に必要であることから、われわれはHIPK2が口蓋癒合においてIRF6に誘導されるΔNp63分解に寄与するかどうかを調べた。HIPK2は、in vivoでのシーム形成中にはマウス口蓋棚のMEE細胞に存在し、生体外で培養した口蓋棚でIRF6を異所的に発現させると、Hipk2の発現が促進され、リン酸化されたHIPK2が蓄積された。器官培養におけるノックダウン実験と異所性発現実験では、HIPK2およびIRF6に依存したカスパーゼ3の活性化、MEEのアポトーシス、口蓋癒合にはp21が必要であることが実証された。両側の口蓋棚が接触すると、TGF-β活性化キナーゼ1(TAK1)のリン酸化が促進され、それによってHIPK2のリン酸化と口蓋癒合が促進された。これらの知見は、HIPK2がシーム細胞のアポトーシスとIRF6下流の口蓋癒合を促進することと、IRF6とTAK1が口蓋癒合過程において協調的にHIPK2の存在量を増加させ、その活性化を促進しているらしいことを示している。

Citation: C.-Y. Ke, H.-H. Mei, F.-H. Wong, L.-J. Lo, IRF6 and TAK1 coordinately promote the activation of HIPK2 to stimulate apoptosis during palate fusion. Sci. Signal. 12, eaav7666 (2019).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年8月6日号

Editors' Choice

HER2がSTINGを弱める

Research Article

IRF6とTAK1はHIPK2の活性化を協調的に亢進し、口蓋癒合過程のアポトーシスを促進する

SynGAP-ドーパミンD1受容体複合体の破壊はアクチンと微小管のダイナミクスを変化させGABA作動性介在ニューロンの移動を損なう

PKD3キナーゼはインスリンシグナル伝達を抑制することにより、コレステロールおよびトリグリセリドに対して負のフィードバックをもたらす

最新のResearch Article記事

2025年09月16日号

インターロイキン15と18はmTORC1の非典型的活性化を通じてナチュラルキラー細胞の抗腫瘍機能を相乗的に刺激する

2025年09月16日号

野生型RASシグナル伝達はRAS変異型がんのきわめて重要な治療標的である

2025年09月09日号

フソバクテリウム・ヌクレアタムは酪酸駆動型エピジェネティック機構を通じてアンフェタミン誘導行動応答を増強する

2025年09月02日号

一次感覚ニューロンのGαqシグナル伝達がオピオイドの鎮痛作用をNMDA受容体誘導性の耐性および痛覚過敏に変化させる

2025年09月02日号

MAPKおよびmTORC1シグナル伝達は収束してサイクリンD1タンパク質の産生を駆動することによってメラノーマのパーシスター(残存)細胞における細胞周期の再開を可能にしている