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SynGAP-ドーパミンD1受容体複合体の破壊はアクチンと微小管のダイナミクスを変化させGABA作動性介在ニューロンの移動を損なう

Disruption of SynGAP-dopamine D1 receptor complexes alters actin and microtubule dynamics and impairs GABAergic interneuron migration

Research Article

Sci. Signal. 06 Aug 2019:
Vol. 12, Issue 593, eaau9122
DOI: 10.1126/scisignal.aau9122

Ping Su1, Terence K. Y. Lai1,2, Frankie H. F. Lee1, Andrew R. Abela1,3, Paul J. Fletcher1,3,4, and Fang Liu1,2,3,*

1 Campbell Family Mental Health Research Institute, Centre for Addiction and Mental Health, University of Toronto, Toronto, Ontario M5T 1R8, Canada.
2 Department of Physiology, University of Toronto, Toronto, Ontario M5T 1R8, Canada.
3 Department of Psychiatry, University of Toronto, Toronto, Ontario M5T 1R8, Canada.
4 Department of Psychology, University of Toronto, Toronto, Ontario M5T 1R8, Canada.

* Corresponding author. Email: fang.liu@camh.ca

要約

γ-アミノ酪酸(GABA)-作動性介在ニューロンの移動の不調は、自閉症スペクトラム障害や統合失調症を含むさまざまな神経発達障害に関係する。ドーパミンD1受容体(D1R)は、GABA作動性介在ニューロンの移動を促進し、GABA作動性介在ニューロンの移動は、さまざまな神経障害で乱れており、その一部は、シナプスRas-グアノシントリホスファターゼ活性化タンパク質(SynGAP)をコードする遺伝子の変異にも関連している。ここでは、これらの関係と可能性のある接点の基となる機構を調べた。われわれは、出生前マウスの脳組織において、D1RとSynGAPの間にこれまで知られていない相互作用を見出した。このD1R-SynGAP相互作用により、D1Rの細胞膜への局在化が促進され、プロテインキナーゼAおよびp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼのリン酸化を含むD1Rを介した下流シグナル伝達経路が促進された。これらの効果は、D1R-SynGAP相互作用を破壊するペプチド(TAT-D1Rpep)によって遮断された。さらに、胚発生時のマウスで、この複合体を破壊すると、恐らくアクチンと微小管のダイナミクスの変化により、GABA作動性介在ニューロンの接線方向の移動に顕著な選択的欠損が生じた。われわれの結果は、介在ニューロンの発生を調節する分子機構への洞察を提供し、D1R-SynGAP相互作用の破壊がSYNGAP1変異関連神経発達障害の根底にある可能性を示唆する。

Citation: P. Su, T. K. Y. Lai, F.H. F. Lee, A. R. Abela, P.J. Fletcher, F. Liu, Disruption of SynGAP-dopamine D1 receptor complexes alters actin and microtubule dynamics and impairs GABAergic interneuron migration. Sci. Signal. 12, eaau9122 (2019).

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