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非定型ケモカイン受容体3へのCXCL12の結合速度論はケモカイン結合における受容体N末端の役割を明らかにする

Kinetics of CXCL12 binding to atypical chemokine receptor 3 reveal a role for the receptor N terminus in chemokine binding

Research Article

Sci. Signal. 10 Sep 2019:
Vol. 12, Issue 598, eaaw3657
DOI: 10.1126/scisignal.aaw3657

Martin Gustavsson*, Douglas P. Dyer†, Chunxia Zhao, and YTracy M. Handel‡

Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of California, San Diego, 9500 Gilman Drive, La Jolla, CA 92093-0684, USA.

‡Corresponding author. Email: thandel@ucsd.edu

* Present address: Department of Biomedical Sciences, University of Copenhagen, Blegdamsvej 3, 2200 Copenhagen, Denmark.

† Present address: Wellcome Centre for Cell-Matrix Research and Lydia Becker Institute of Immunology and Inflammation, Faculty of Biology, Medicine and Health, Manchester Academic Health Science Centre, University of Manchester, Manchester M13 9PT, UK.

要約

ケモカインは膜貫通ケモカイン受容体に結合し、受容体はGタンパク質を介してシグナルを伝達し、細胞移動を促進する。しかしながら、非定型ケモカイン受容体3(ACKR3)はGタンパク質に結合するようには見えず、細胞遊走を直接促進する代わりに、Gタンパク質共役受容体(GPCR)CXCR3およびCXCR4と共有するケモカインの細胞外濃度を調節し、それにより、これらの受容体の応答に影響を与える。これらの受容体がどのようにリガンドに結合するかを理解することは、これらのさまざまなプロセスを理解するために重要である。ここでは、β-アレスチン動員アッセイと組み合わせた結合および解離速度測定を適用し、ACKR3:ケモカイン相互作用を調べた。われわれの結果は、CXCL12の結合が異常に遅く、複数の結合エピトープ間の相互作用によって駆動されることを示した。また、受容体のアミノ末端がケモカインの解離を防ぐことにより、ケモカインの結合と活性化に重要な役割を果たしていることもわかった。ケモカインは、ケモカインの球状ドメインと受容体アミノ末端との相互作用を介して最初に受容体に結合し、その受容体アミノ末端がケモカインのアミノ末端を受容体の膜貫通ポケットに誘導してシグナル伝達を開始すると考えられていた。われわれの速度論データに基づき、われわれは、ケモカインのアミノ末端が最初に受容体の細胞外ループおよび膜貫通ポケットと相互作用を形成し、その後にケモカインのコアの周りを包む受容体アミノ末端がその滞留時間を長引かせるという代替メカニズムを提案する。これらのデータは、スカベンジャー受容体としての機能においてACKR3がどのように標準型GPCRと競合し、協調するかについての洞察を提供する。

Citation: M. Gustavsson, D. P. Dyer, C. Zhao, T. M. Handel, Kinetics of CXCL12 binding to atypical chemokine receptor 3 reveal a role for the receptor N terminus in chemokine binding. Sci. Signal. 12, eaaw3657 (2019).

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