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γδT細胞の遺伝子操作によってキメラ抗原受容体と関連する持続性シグナル伝達を制限する

Engineering γδT cells limits tonic signaling associated with chimeric antigen receptors

Research Article

Sci. Signal. 10 Sep 2019:
Vol. 12, Issue 598, eaax1872
DOI: 10.1126/scisignal.aax1872

Jonathan Fisher1,2, Roshan Sharma2,3, Dilu Wisidagamage Don1, Marta Barisa1, Marina Olle Hurtado1, Pierre Abramowski1, Lucy Porter1, William Day4, Roberto Borea1, Sarah Inglott5, John Anderson1,4,*, and Dana Pe'er2,6,*

1 UCL/GOSH Institute of Child Health, Cancer Section, 30 Guilford Street, London WC1N 1EH, UK.
2 Program for Computational and Systems Biology, Sloan Kettering Institute, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New York, NY 10065, USA.
3 Department of Applied Physics and Applied Mathematics, Columbia University, New York, NY 10027, USA.
4 UCL Cancer Institute, 72 Huntley St., Fitzrovia, London WC1E 6AG, UK.
5 Department of Haematology and Oncology, Great Ormond Street Hospital, London WC1N 3JH, UK.
6 Parker Institute for Cancer Immunotherapy, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New York, NY 10065, USA.

* Corresponding author. Email: peerster@gmail.com (D.P.); j.anderson@ucl.ac.uk (J.A.)

要約

キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法はリンパ系腫瘍に対しては効用をもたらすが、固形腫瘍に対しては反応がより限定的で、オフターゲット毒性がより顕著にみられる。がんに対するCAR-T細胞のデザイン上の限界として、不必要な持続性(抗原非依存性)シグナル伝達とオフターゲット活性化が考えられる。これらの難関を克服するための努力は、機構的理解の欠如ゆえに思うような成果をあげていない。本稿でわれわれは、経時的なマスサイトメトリー分析を用いた単一細胞解析によってCAR-T細胞の活性化を迅速に評価できることを示した。増殖させたT細胞におけるシグナル伝達を、第二世代CARを発現するように形質導入されたT細胞におけるシグナル伝達と比較し、刺激に対する反応が細胞増殖によって亢進されることを明らかにした。ところが、増殖は持続性シグナル伝達も誘導し、ネットワークの可塑性を低下させた。これにはT細胞の消耗マーカーであるPD-1とTIM-3の発現が関連した。こうした作用はCD3ζの下流経路でもっとも顕著にみられたことから、われわれは、CD3ζ刺激ドメインを欠損しているがDAP10刺激ドメインを含有しているキメラ共刺激受容体(CCR)を発現するγδT細胞に対して、同様の解析を行った。これらのCCR-γδT細胞は、持続性シグナル伝達を呈さなかったが、効率的に活性化され、CCR特異的刺激または同族の白血病細胞の存在下で細胞傷害性反応を開始した。単一細胞シグナル伝達解析はCAR-TおよびCCR-T細胞活性化の詳細な特徴づけを可能にし、これらの細胞の機能的活性についての理解を深めた。さらにわれわれは、CCR-γδT細胞が骨髄性悪性腫瘍においてオンターゲット、オフ腫瘍毒性、アロ反応性を回避できる可能性を示した。

Citation: J. Fisher, R. Sharma, D. W. Don, M. Barisa, M. O. Hurtado, P. Abramowski, L. Porter, W. Day, R. Borea, S. Inglott, J. Anderson, D. Pe'er, Engineering γδT cells limits tonic signaling associated with chimeric antigen receptors. Sci. Signal. 12, eaax1872 (2019).

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