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Ca2+排出ポンプであるPMCAが膜近傍のCa2+を除去し、ストア作動性Ca2+流入およびNFAT活性化を促進する

The Ca2+ export pump PMCA clears near-membrane Ca2+ to facilitate store-operated Ca2+ entry and NFAT activation

Research Article

Sci. Signal. 08 Oct 2019:
Vol. 12, Issue 602, eaaw2627
DOI: 10.1126/scisignal.aaw2627

Christina K. Go1,2, Robert Hooper1,2, Matthew R. Aronson1, Bryant Schultz1, Taha Cangoz1, Neeharika Nemani2, Yi Zhang3, Muniswamy Madesh2, and Jonathan Soboloff1,2,*

1 Fels Institute for Cancer Research and Molecular Biology, Lewis Katz School of Medicine at Temple University, Philadelphia, PA 19140, USA.
2 Department of Medical Genetics and Molecular Biochemistry, Lewis Katz School of Medicine at Temple University, Philadelphia, PA 19140, USA.
3 Department of Immunology, Lewis Katz School of Medicine at Temple University, Philadelphia, PA 19140, USA.

*Corresponding author. Email: soboloff@temple.edu

要約

細胞運命において多能性変化を促進するCa2+シグナルは、陽イオンの流入と排出の間のバランスを反映している。われわれは、ジャーカットT細胞におけるCa2+排出性細胞膜カルシウムATPアーゼ4(PMCA4)ポンプのいずれかのアイソフォームの過剰発現が、Ca2+依存性転写因子である活性化T細胞核因子(NFAT)の活性化を予想外に亢進することを見出した。小胞体に常在するCa2+センサーである間質相互作用分子1(STIM1)とPMCA4bスプライスバリアントの共発現はNFATの活性をさらに亢進したが、STIM1とPMCA4aの共発現はNFATを抑制した。STIM1との会合におけるPMCA4スプライスバリアントの依存性は認められなかったが、STIM1パートナー(POST)はPMCA4aよりもPMCA4bと選択的に会合し、これがPMCA4の機能を阻害ではなくむしろ亢進した。ストア作動性Ca2+流入時のサイトゾルのCa2+存在量を細胞全体と膜近傍で比較したところ、特にPMCA4bがSTIM1と共発現しているときにPMCA4は膜近傍のCa2+濃度を顕著に低下させることが明らかになった。PMCA4bは、POSTおよびストア作動性Ca2+チャネルであるOrai1の両方と緊密に会合した。さらにPOSTをノックダウンすると膜近傍のCa2+濃度が上昇し、サイトゾル全体のCa2+の増加を抑制した。これらの観察結果から、PMCA4とOrai1のカップリングに働き、T細胞の活性化においてCa2+の脱抑制を介してCa2+の流入を促進するという、POSTの予想外の役割が解明された。

Citation: C. K. Go, R. Hooper, M. R. Aronson, B. Schultz, T. Cangoz, N. Nemani, Y. Zhang, M. Madesh, J. Soboloff, The Ca2+ export pump PMCA clears near-membrane Ca2+ to facilitate store-operated Ca2+ entry and NFAT activation. Sci. Signal. 12, eaaw2627 (2019).

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