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プリン作動性受容体誘発性のインテグリンの活性化と極性化をCa2+波が調整する

Ca2+ waves coordinate purinergic receptor-evoked integrin activation and polarization

Research Article

Sci. Signal. 21 Jan 2020:
Vol. 13, Issue 615, eaav7354
DOI: 10.1126/scisignal.aav7354

Alexander P. Bye1,*, Jonathan M. Gibbins1, and Martyn P. Mahaut-Smith2,*

  1. 1 Institute for Cardiovascular and Metabolic Research, University of Reading, Reading RG6 6AS, UK.
  2. 2 Department of Molecular and Cell Biology, University of Leicester, Leicester LE1 7RH, UK.

* Corresponding author. Email: a.bye@reading.ac.uk (A.P.B.); mpms1@le.ac.uk (M.P.M.-S.)

要約

細胞はP2Yクラスのプリン作動性Gタンパク質共役受容体(GPCR)を通じて細胞外ヌクレオチドを感知し、これが細胞内Ca2+の動員を含むシグナル伝達イベントを通じてインテグリンの活性化を刺激する。われわれは、P2Yにより刺激された反復性Ca2+波と、血小板インテグリンαIIbβ3(GPIIb/IIIa)へのフィブリノゲン結合との関連性を、初代培養ラット巨核球の共焦点蛍光画像解析により調べた。受容体であるP2Y1およびP2Y12の共刺激により一連のCa2+トランジェントが生じ、それぞれが個別にフィブリノゲン結合を速やかに増強した。個々のフィブリノゲン結合イベントの最大および正味の増加は、Ca2+トランジェントの振幅および頻度のそれぞれと関連していた。われわれはBAPTA負荷と選択的受容体アンタゴニストを用い、P2Y1の下流で生じるCa2+の動員がADP誘発性のフィブリノゲン結合に不可欠である一方、αIIbβ3の活性化にはP2Y12とキナーゼPI3Kも必要であり、これによってCa2+トランジェントの回数が増えたことを見出した。ADP誘発性のフィブリノゲン結合は、当初は細胞周縁部に均一で起こるものの、その後はCa2+波の方向と相関した極性をもって再分布した。表面に結合したフィブリノゲンは高度に不動性であり、その運動性は細胞骨格の破壊により増強することから、αIIbβ3の極性化にはアクチン細胞骨格が介在すると考えられる。結論として、Ca2+増加の空間および時間パターンは、細胞刺激後のαIIbβ3活性化を微調整することができる。P2Y1により刺激されたCa2+トランジェントとαIIbβ3活性化との共役は、P2Y12が共活性化された状況でのみ生じ、それにより、これらGqとGi共役型GPCRの間のもう1つの時間的相乗効果の機構を提供している。

Citation: A. P. Bye, J. M. Gibbins, M. P. Mahaut-Smith, Ca2+ waves coordinate purinergic receptor-evoked integrin activation and polarization. Sci. Signal. 13, eaav7354 (2020).

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