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エナメル質細胞におけるCa2+シグナル伝達とミトコンドリア機能をフッ素曝露が変化させる

Fluoride exposure alters Ca2+ signaling and mitochondrial function in enamel cells

Research Article

Sci. Signal. 18 Feb 2020:
Vol. 13, Issue 619, eaay0086
DOI: 10.1126/scisignal.aay0086

Francisco J. Aulestia1, Johnny Groeling1, Guilherme H. S. Bomfim1, Veronica Costiniti1, Vinu Manikandan2, Ariya Chaloemtoem2, Axel R. Concepcion3, Yi Li1, Larry E. Wagner II4, Youssef Idaghdour2, David I. Yule4, and Rodrigo S. Lacruz1,*

  1. 1 Department of Basic Science and Craniofacial Biology, New York University College of Dentistry, New York, NY 10010, USA.
  2. 2 Biology Program, Division of Science and Mathematics, New York University Abu Dhabi, Abu Dhabi, United Arab Emirates.
  3. 3 Department of Pathology, New York University School of Medicine, New York, NY 10016, USA.
  4. 4 Department of Pharmacology and Physiology, University of Rochester, Rochester, NY 14526, USA.

* Corresponding author. Email: rodrigo.lacruz@nyu.edu

要約

フッ素イオンは反応性が高く、歯のエナメル質形成中に低濃度で取り込まれたときその石灰化を促進する。一方で過量のフッ素の取込みは、う歯のリスクを高めるおそれがある視覚的に認識できるエナメル質欠損である、歯のフッ素症を引き起こす。歯のフッ素症の分子的基礎を検討するため、エナメル質細胞におけるフッ素曝露の影響を解析し、Ca2+シグナル伝達に及ぼすその影響を評価した。フッ素に曝露された初代エナメル質細胞およびエナメル質細胞株(LS8)では、細胞内Ca2+ストアおよびストア作動性Ca2+流入(SOCE)が減少した。フッ素処理したLS8細胞のRNAシーケンシング解析から、小胞体(ER)ストレスを示唆する遺伝子発現の変化が明らかにされた。HEK-293細胞では、フッ素曝露はCa2+恒常性を変化させず、ERストレス関連遺伝子の発現も亢進させなかった。エナメル質細胞におけるフッ素曝露は、ERのCa2+補充の間のER局在性Ca2+チャネルIP3Rの機能および筋小胞体Ca2+-ATPアーゼ(SERCA)ポンプの活性に影響した。さらにフッ素はミトコンドリア呼吸に負の影響を及ぼし、ミトコンドリア膜の脱分極を引き起こし、ミトコンドリアの形態を破壊した。まとめるとこれらのデータは、歯のフッ素症の根底にあると考えられる機構を提供している。

Citation: F. J. Aulestia, J. Groeling, G. H. S. Bomfim, V. Costiniti, V. Manikandan, A. Chaloemtoem, A. R. Concepcion, Y. Li, L. E. Wagner II, Y. Idaghdour, D. I. Yule, R. S. Lacruz, Fluoride exposure alters Ca2+ signaling and mitochondrial function in enamel cells. Sci. Signal. 13, eaay0086 (2020).

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英語原文を見る

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