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SERP1は代謝ストレス状態におけるγ-セクレターゼの集合調節因子である

SERP1 is an assembly regulator of γ-secretase in metabolic stress conditions

Research Article

Sci. Signal. 17 Mar 2020:
Vol. 13, Issue 623, eaax8949
DOI: 10.1126/scisignal.aax8949

Sunmin Jung1,*, Junho Hyun1,*, Jihoon Nah1,†, Jonghee Han1,‡, Seo-Hyun Kim1, Jaesang Park1, Yoonseo Oh1, Youngdae Gwon1,§, Seowon Moon1, Dong-Gyu Jo2, and Yong-Keun Jung1,‖

  1. 1School of Biological Sciences, Seoul National University, 1 Gwanak-ro, Gwanak-gu, Seoul 08826, Korea.
  2. 2School of Pharmacy, Sungkyunkwan University, Suwon 16419, Korea.

‖ Corresponding author. Email: ykjung@snu.ac.kr

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Department of Cell Biology and Molecular Medicine, Rutgers New Jersey Medical School, Newark, NJ 07103, USA

‡ Present address: Department of Neuroscience, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390, USA.

§ Present address: Department of Cell and Molecular Biology, St. Jude Children's Research Hospital, Memphis, TN 38105, USA.

要約

酵素γ-セクレターゼは、アミロイドタンパク質前駆体(APP)を切断することにより、β-アミロイド(Aβ)ペプチドを生成する。これらのペプチドの凝集は、アルツハイマー病(AD)と関連している。さまざまなγ-セクレターゼ調節因子の開発にもかかわらず、それらの臨床利用は、Notchなどの他のγ-セクレターゼ調節基質の同時破壊が理由となって制限されている。われわれは、細胞内のγ-セクレターゼ活性のゲノムワイドの機能的スクリーニングとcDNA発現ライブラリーを用いて、SERP1が、糖尿病で見られるような小胞体(ER)ストレスが発生している細胞でのAβ生成を刺激するこれまで知られていないγ-セクレターゼ活性化因子であることを発見した。SERP1は、そのカルボキシル末端を介してγ-セクレターゼのサブコンプレックス(APH1A/NCT)と相互作用して、集合を促進し、その結果、γ-セクレターゼホロ酵素複合体の活性を促進した。ERストレスに応答して、SERP1はγ-セクレターゼ複合体にNotchではなくAPPを優先的に動員し、脂質ラフトへの複合体の細胞内局在を増強し、Aβ産生を増加させた。さらに、大量のグルコースに曝された細胞と糖尿病ADモデルマウスの両方で、SERP1の存在量、γ-セクレターゼの集合、およびAβ産生が増加した。逆に、細胞またはマウスの海馬でSERP1をノックダウンすることにより、Aβ産生が減少した。対照患者の死後試料と比較して、AD患者の死後試料では、海馬と頭頂葉でSERP1発現が増加していた。合わせると、われわれの発見は、SERP1が、細胞ストレスのコンテキストでγ-セクレターゼ機能のAPPに偏向した調節因子であることを示唆し、糖尿病と散発性ADとの関連性に対する可能な分子的説明を提供する。

Citation: S. Jung, J. Hyun, J. Nah, J. Han, S.-H. Kim, J. Park, Y. Oh, Y. Gwon, S. Moon, D.-G. Jo, Y.-K.Jung, SERP1 is an assembly regulator of γ-secretase in metabolic stress conditions. Sci. Signal. 13, eaax8949 (2020).

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