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K+を感知する二成分制御系KdpDEのシグナル伝達機構に関する構造的洞察

Structural insights into the signal transduction mechanism of the K+-sensing two-component system KdpDE

Research Article

Sci. Signal. 04 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 643, eaaz2970
DOI: 10.1126/scisignal.aaz2970

Mengyuan Wu, and Aidong Han*

State Key Laboratory of Cellular Stress Biology, School of Life Sciences, Xiamen University, Xiamen 361102, China.

* Corresponding author. Email: ahan@xmu.edu.cn

要約

ヒスチジンキナーゼ(HK)センサーと応答調節因子(RR)から構成される二成分制御系(TCS)は、細菌にとって、種々の環境シグナルを速やかに感知してこれに応答するために重要である。HKおよびRRは通常、同族のペアとして機能し、互いに相互作用することでのみシグナルを伝達する。TCS内で正確なシグナル伝達が行われるかは、RRのレシーバードメイン(RD)とHKの二量体化・ヒスチジンリン酸化ドメイン(DHp)との特異的な相互作用に依存する。今回われわれは、K+の恒常性を担う、HK KdpDとRR KdpEから構成されるTCSであるKdpDEの複雑な構造を明らかにした。KdpEのRDとDNA結合ドメイン(DBD)はいずれもKdpDと相互作用した。KdpEのRDとKdpDのDHpは結合特異性に寄与したが、DBDは、KdpDEを介したシグナル伝達には不可欠な、KdpDの触媒性ATP結合(CA)ドメインとの別個の相互作用を媒介した。さらにDBD-CAの境界はDBD-DNA複合体の境界とほぼ重複しており、それによりKdpDとその標的プロモーターとの間のKdpEリン酸化依存性の競合が生じていた。さらにCAドメインの伸長したC末端テールが、KdpDEとの相互作用の安定化およびシグナル伝達のために重要であった。まとめると、これらのデータは、このTCSによる効率的なシグナル伝達および転写制御に重要な役割を果たす、KdpDとKdpEの特異的相互作用の分子基盤を提示している。

Citation: M. Xie, M. Wu, A. Han, Structural insights into the signal transduction mechanism of the K+-sensing two-component system KdpDE. Sci. Signal. 13, eaaz2970 (2020).

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