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LGR4とは異なりLGR5はE3リガーゼを捕捉することなくWnt-β-カテニンシグナル伝達を増強する
Unlike LGR4, LGR5 potentiates Wnt-β-catenin signaling without sequestering E3 ligases
Sci. Signal. 01 Dec 2020:
Vol. 13, Issue 660, eaaz4051
DOI: 10.1126/scisignal.aaz4051
Soohyun Park, Ling Wu, Jianghua Tu, Wangsheng Yu, Yukimatsu Toh, Kendra S. Carmon, and Qingyun J. Liu*
Center for Translational Cancer Research, The Brown Foundation Institute of Molecular Medicine, University of Texas Health Science Center at Houston, Houston, TX 77030, USA.
* Corresponding author. Email: qingyun.liu@uth.tmc.edu
要約
LGR4およびLGR5は、臓器発生と成体幹細胞の生存において重要であるが異なる役割を持つ2つの相同受容体をコードする。両受容体は、腸陰窩幹細胞で共発現し、高い親和性でR-スポンジン(RSPO)に結合し、おそらく同じ機構によってWnt-β-カテニンシグナル伝達を増強する。すなわち、E3リガーゼRNF43およびZNRF3とRSPO架橋複合体を形成し、Wnt受容体のユビキチン化を阻害する。しかしながら、RSPOに結合した完全長LGR5が細胞全体でこれらのE3リガーゼと相互作用するという直接的な証拠は報告されておらず、腸幹細胞の自己複製にはLGR4のみが不可欠である。ここでは、共免疫沈降、近位ライゲーション、競合結合、および細胞そのものにおける時間分解FRETアッセイを用いて、LGR4とLGR5の作用機序を並行に調べた。完全長LGR4は、RSPOがなくてもZNRF3およびRNF43と緊密な複合体を形成したが、LGR5はRSPOの有無にかかわらずどちらのE3リガーゼとも相互作用しなかった。LGR4とLGR5を用いたドメインスワップ実験により、LGR4の7回膜貫通ドメインがE3リガーゼとの相互作用をもたらすことが明らかになった。ネイティブLGR4およびLGR5は、細胞表面に二量体として存在し、LGR5はWntシグナルソームのFZDとLRP6の両方と相互作用し、LRP6のリン酸化を高め、Wnt-β-カテニンシグナル伝達を増強した。これらの発見は、Wntシグナル伝達の増強におけるLGR5のより弱い活性に関する分子基盤を提供するもので、このことは臓器発生および成体幹細胞の自己複製と適応度におけるLGR4とLGR5の異なる役割の根底にある可能性がある。
Citation: S. Park, L. Wu, J. Tu, W. Yu, Y. Toh, K. S. Carmon, Q. J. Liu, Unlike LGR4, LGR5 potentiates Wnt-β-catenin signaling without sequestering E3 ligases. Sci. Signal. 13, eaaz4051 (2020).