• ホーム
  • ACE2およびインテグリンβ3の細胞質側の短鎖モチーフが、SARS-CoV-2宿主細胞受容体を、エンドサイトーシスおよびオートファジーのメディエーターにリンクする

ACE2およびインテグリンβ3の細胞質側の短鎖モチーフが、SARS-CoV-2宿主細胞受容体を、エンドサイトーシスおよびオートファジーのメディエーターにリンクする

Cytoplasmic short linear motifs in ACE2 and integrin β3 link SARS-CoV-2 host cell receptors to mediators of endocytosis and autophagy

Research Article

Sci. Signal. 12 Jan 2021:
Vol. 14, Issue 665, eabf1117
DOI: 10.1126/scisignal.abf1117

Johanna Kliche1, Hanna Kuss1,2, Muhammad Ali1, and Ylva Ivarsson1,*

  1. 1 Department of Chemistry, BMC, Uppsala University, Husargatan 3, 751 23 Uppsala, Sweden.
  2. 2 WWU Münster, Institute for Evolution and Biodiversity, DE-48149 Münster, Germany.

* Corresponding author. Email: ylva.ivarsson@kemi.uu.se

要約

SARS-CoV-2のスパイクタンパク質は宿主細胞表面のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と結合し、その後、受容体を介するエンドサイトーシスを通じて宿主細胞に侵入する。インテグリンをはじめとするその他の細胞受容体が、直接または間接的に関係している可能性がある。ACE2およびインテグリンの細胞質側末端には、ウイルスの内部移行を促すのみならず、オートファジーなどのプロセスを介してその後の増殖を促進すると考えられる、複数の短鎖モチーフ(SLiM)が含まれると予測されている。今回われわれは、ACE2およびインテグリンβ3の細胞質側末端にあるSLiMと、エンドサイトーシス輸送およびオートファジーを媒介するタンパク質との間に予測される相互作用の、結合親和性を測定した。われわれは、クラスI PDZ結合モチーフがACE2と足場タンパク質SNX27、NHERF3およびSHANKとの結合を媒介すること、さらにACE2中のクラスリンアダプターAP2μ2の結合部位が、SrcファミリーチロシンキナーゼのSH2ドメインに対するリン酸依存性結合部位と重複していることを確認した。さらにわれわれは、インテグリンβ3中のLC3相互作用領域(LIR)が、オートファジー受容体であるMAP1LC3およびGABARAPのATG8ドメインと、LIR隣接部位のリン酸化によって増強される形で結合していることを確認した。われわれの結果は、ウイルスの侵入と増殖を促すと考えられる、細胞受容体と、エンドサイトーシスおよびオートファジーのメディエーターとの分子リンクを提示している。

Citation: J. Kliche, H. Kuss, M. Ali, Y. Ivarsson, Cytoplasmic short linear motifs in ACE2 and integrin β3 link SARS-CoV-2 host cell receptors to mediators of endocytosis and autophagy. Sci. Signal. 14, eabf1117 (2021).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2021年1月12日号

Editor's Choice

H2O2で呼吸する

Research Article

ACE2およびインテグリンβ3の細胞質側の短鎖モチーフが、SARS-CoV-2宿主細胞受容体を、エンドサイトーシスおよびオートファジーのメディエーターにリンクする

増強されたBMPシグナル伝達はオートファジー性βカテニン分解を抑制することによって頭蓋神経堤細胞の分化運命を軟骨形成に決定づける

Research Resources

SARS-CoV-2に用いられる細胞侵入システムにおける短鎖モチーフ候補とそれらの潜在的な治療上の意味

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する