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内皮TLR2は血管新生促進性の免疫細胞動員と腫瘍血管新生を促進する

Endothelial TLR2 promotes proangiogenic immune cell recruitment and tumor angiogenesis

Research Article

Sci. Signal. 19 Jan 2021:
Vol. 14, Issue 666, eabc5371
DOI: 10.1126/scisignal.abc5371

Michael G. McCoy1, Daniel W. Nascimento1, Manoj Veleeparambil1, Rakhylia Murtazina1, Detao Gao2, Svyatoslav Tkachenko3, Eugene Podrez2, and Tatiana V. Byzova1,*

  1. 1 Department of Neuroscience, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
  2. 2 Department of Inflammation and Immunity, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
  3. 3 Department of Quantitative Health Sciences, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.

* Corresponding author. Email: byzovat@ccf.org

要約

Toll様受容体2(TLR2)は、主に自然免疫細胞内での機能という観点から、さまざまな病態に関与するとされている。しかし、TLR2は内皮細胞にも存在する。今回われわれは、内皮TLR2シグナル伝達の生理学的および病態生理学的役割を検討した。TLR2-IRES-EGFPレポーターマウスを用いることにより、TLR2はさまざまな組織内で内皮に大量に存在し、内皮細胞の炎症促進性機能に必要とされることがわかった。TLR2を欠損した内皮細胞では、タンパク質、細胞、組織のレベルで炎症誘発能の低下が認められた。培養下および生体内の内皮細胞において、内皮TLR2の欠損により、外因性と内因性の危険信号両方に対する炎症反応が鈍化した。前立腺がんのマウスモデルにおいて、内皮TLR2は腫瘍増殖、血管新生、腫瘍形成促進性の免疫細胞動員を促進した。さらに、P-セレクチンの細胞表面局在化と、それに続く、免疫細胞を動員するその他の重要な細胞接着分子(E-セレクチン、ICAM-1、VCAM-1など)の産生に、内皮TLR2が必要とされた。われわれの結果からは、内皮細胞が自然免疫経路に能動的に寄与することが示されており、内皮TLR2が、炎症促進状態において病理学的役割を果たすことが提唱される。

Citation: M. G. McCoy, D. W. Nascimento, M. Veleeparambil, R. Murtazina, D. Gao, S. Tkachenko, E. Podrez, T. V. Byzova, Endothelial TLR2 promotes proangiogenic immune cell recruitment and tumor angiogenesis. Sci. Signal. 14, eabc5371 (2021).

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