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細胞質DNAセンサーcGASは好中球細胞外トラップを認識する

The cytosolic DNA sensor cGAS recognizes neutrophil extracellular traps

Research Article

Sci. Signal. 09 Mar 2021:
Vol. 14, Issue 673, eaax7942
DOI: 10.1126/scisignal.aax7942

Falko Apel1,2, Liudmila Andreeva3,4,5, Lorenz Sebastian Knackstedt1,2,6, Robert Streeck1,2, Christian Karl Frese7, Christian Goosmann1,2, Karl-Peter Hopfner3, and Arturo Zychlinsky1,2,*

  1. 1 Max Planck Institute for Infection Biology, Department of Cellular Microbiology, Charitéplatz 1, 10117 Berlin, Germany.
  2. 2 Department of Biology, Humboldt University, Charitéplatz 1, 10117 Berlin, Germany.
  3. 3 Gene Center, Ludwig-Maximillians-Universität München, Feodor-Lynen-Straße 25, 81377 Munich, Germany.
  4. 4 Department of Biological Chemistry and Molecular Pharmacology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
  5. 5 Program in Cellular and Molecular Medicine, Boston Children's Hospital, Boston, MA 02115, USA.
  6. 6 T-Knife GmbH, Robert-Rössle-Straße 10, 13125 Berlin, Germany.
  7. 7 Max Planck Unit for the Science of Pathogens, Charitéplatz 1, 10117 Berlin, Germany.

* Corresponding author. Email: zychlinsky@mpiib-berlin.mpg.de

要約

好中球細胞外トラップ(NET)はクロマチンと抗菌分子で構成される構造であり、ネトーシスと呼ばれる一種の制御された細胞死において、好中球により放出される。NETは侵入する病原体をトラップし、凝固を促進し、骨髄系細胞を活性化して、免疫系を調節する炎症性サイトカインであるI型インターフェロン(IFN)を産生させる。今回、われわれは、マクロファージやその他の骨髄系細胞がNETを貪食することを示した。いったんファゴソームに入った後、NETは細胞質に移動し、細胞質ではこれらの構造体のDNA骨格が、自然免疫センサーである環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)を活性化し、I型IFN産生を誘導した。NETに関連するセリンプロテアーゼである好中球エラスターゼ(NE)が、この経路の活性化を仲介した。自己免疫性肝炎のモデルである、レクチンのコンカナバリンAを投与したマウスでは、NET誘導によってIFN応答がcGAS依存的に刺激されることが示され、in vivoでNETがcGASを活性化することが示唆された。したがって、われわれの結果からは、cGASはNETのセンサーであり、感染時の免疫細胞活性化を仲介することが示唆される。

Citation: F. Apel, L. Andreeva, L. S. Knackstedt, R. Streeck, C. K. Frese, C. Goosmann, K.-P. Hopfner, A. Zychlinsky, The cytosolic DNA sensor cGAS recognizes neutrophil extracellular traps. Sci. Signal. 14, eaax7942 (2021).

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