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TMEM16Fは免疫シナプスでのバイスタンダーTCR結合CD3の膜解離を仲介してT細胞の活性化を増強する

TMEM16F mediates bystander TCR-CD3 membrane dissociation at the immunological synapse and potentiates T cell activation

Research Article

Sci. Signal. 23 Mar 2021:
Vol. 14, Issue 675, eabb5146
DOI: 10.1126/scisignal.abb5146

Audrey Connolly1,2, Rébecca Panes1,2, Margaux Tual1,2, Raphaël Lafortune2, Angélique Bellemare-Pelletier1, and Etienne Gagnon1,2,*

  1. 1 Institut de Recherche en Immunologie et Cancérologie, 2950 Chemin de la Polytechnique, Montréal, Québec H3T1J4, Canada.
  2. 2 Département de Microbiologie, Infectiologie et Immunologie, Faculté de Médecine, Université de Montréal, 2900 édouard-Montpetit, Montréal, Québec H3T1J4, Canada.

* Corresponding author. Email: etienne.gagnon@umontreal.ca

要約

静電気的相互作用は、TCRと会合したCD3ε鎖およびCD3ζ鎖と細胞膜のアニオン性脂質との動的結合を可能にして自発的なリン酸化を防止するなど、T細胞受容体(TCR)の活性を多面的に調節している。T細胞と抗原提示細胞とのインターフェイスである免疫シナプスでは、細胞膜の静電ポテンシャルが大幅に変動する。本研究でわれわれは、TCR-CD3の細胞質ドメインの動的な膜結合を促進する静電気的相互作用が、シグナル伝達中にどのように調節され、T細胞の活性化にどう影響するのかを調べた。ホスファチジルセリンのスクランブラーゼであるTMEM16Fは以前からT細胞の活性化と関連づけられていたが、われわれは、TMEM16FがCa2+依存的に活性化されると、ホスファチジルセリンの局所的な再分布によって、免疫シナプス形成中に細胞膜の静電ポテンシャルが低下することを明らかにした。静電ポテンシャルが低下すると、バイスタンダーTCRに付随したCD3の細胞質ドメインの細胞膜からの解離が促進され、TCR依存性シグナル伝達が亢進され、結果的にT細胞が活性化された。この研究は、バイスタンダーTCRによって誘導されるシグナルの増幅においてTMEM16Fが担う役割の分子基盤を確立し、T細胞の活性化を促進するための治療戦略候補としてTMEM16F機能の増強を同定するものである。

Citation: A. Connolly, R. Panes, M. Tual, R. Lafortune, A. Bellemare-Pelletier, E. Gagnon, TMEM16F mediates bystander TCR-CD3 membrane dissociation at the immunological synapse and potentiates T cell activation. Sci. Signal. 14, eabb5146 (2021).

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