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細胞性粘菌(Dictyostelium)のミオシン重鎖キナーゼAのα-キナーゼドメインの結晶構造

Crystal Structure of the α-Kinase Domain of Dictyostelium Myosin Heavy Chain Kinase A

Research Article

Sci. Signal., 2 March 2010
Vol. 3, Issue 111, p. ra17
[DOI: 10.1126/scisignal.2000525]

Qilu Ye*, Scott W. Crawley*, Yidai Yang, Graham P. C?t?†, and Zongchao Jia
Department of Biochemistry, Queen's University, Kingston, Ontario, Canada K7L 3N6.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: coteg@queensu.ca

要約:細胞性粘菌のキイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum) のミオシンII重鎖キナーゼA(MHCK A)は、α-ヘリックスのコイルドコイル尾部内の部位をリン酸化することによって、ミオシンIIの双極性フィラメントの集合と細胞活性を乱す。MHCK Aは、セリン/トレオニンプロテインキナーゼの非定型α-キナーゼファミリーのメンバーであり、真核生物の定型のプロテインキナーゼと配列相同性を示さな い。本稿では、MHCK Aのα-キナーゼドメイン(A-CAT)の結晶構造を報告する。アデノシン三リン酸(ATP)の存在下で結晶化させると、A-CATの活性部位にアデノシ ン一リン酸(AMP)が含まれた。しかし、ATPとペプチド基質の存在下で結晶化させた場合には、ペプチド基質は構造に現れないが、アデノシン二リン酸 (ADP)が活性部位に見られ、活性部位に保存されたアスパラギン酸残基(Asp766)がリン酸化されていた。アスパルチルリン酸基は、基質のドッキング部位として機能すると考えられる活性部位のポケット内で、溶媒に向かって露出されていた。アスパルチルリン酸への接近は、マグネシウムイオン(Mg2+)に結合しているループにおけるコンホメーション変化によって調節され、α-キナーゼがMg2+の局所的変化を感知して反応するための機構を提供している。

Q. Ye, S. W. Crawley, Y. Yang, G. P. C?t?, Z. Jia, Crystal Structure of the α-Kinase Domain of Dictyostelium Myosin Heavy Chain Kinase A. Sci. Signal. 3, ra17 (2010).

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