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基底膜を通過する細胞浸潤の調節因子のin vivoでの同定

In Vivo Identification of Regulators of Cell Invasion Across Basement Membranes

Research Article

Sci. Signal., 4 May 2010
Vol. 3, Issue 120, p. ra35
[DOI: 10.1126/scisignal.2000654]

David Q. Matus1, Xiao-Yan Li2,3, Sarah Durbin1, Daniel Agarwal1*, Qiuyi Chi1, Stephen J. Weiss2,3, and David R. Sherwood1†

1 Biology Department, Duke University, Durham, NC 27708, USA.
2 Division of Molecular Medicine and Genetics, Department of Internal Medicine, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
3 Life Sciences Institute, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.

* Present address: Weill Cornell Medical College, 1300 York Avenue, New York, NY 10065, USA.

To whom correspondence should be addressed. E-mail: david.sherwood@duke.edu

要約:発生、免疫監視、転移における基底膜を通過する細胞浸潤は、まだ十分には解明されていない。この重要な細胞挙動についてさらなる知見を得るために、線虫(Caenorhabditis elegans)のアンカー細胞浸潤の単純モデルを用いて、基底膜を通過する細胞浸潤の調節因子をin vivoでスクリーニングし、浸潤を促進する99の遺伝子(シャペロニン複合体cctをコードする遺伝子を含む)を同定した。注目すべきことに、これらの遺伝子のほとんどに関して、これまでは浸潤性細胞挙動への関与が知られていなかった。われわれはcct複合体のメンバーと、さらに別の遺伝子産物11個の特性について検討し、これらが調節する浸潤カスケードの特徴的な側面(特殊な浸潤性細胞膜の形成と基底膜を破るその能力など)を明らかにした。それまで細胞浸潤への関与が知られていなかったcct-5lit-1の ヒトのオルソログをRNA干渉によりノックダウンすると、転移性がん細胞の浸潤性が低下したことから、保存された遺伝的プログラムが細胞浸潤の根底にある ことが示唆された。これらの結果は、細胞浸潤の遺伝的基礎に関するわれわれの理解を深めると同時に、この挙動を制限するための新たな治療標的候補をもたら す。

D. Q. Matus, X. Y. Li, S. Durbin, D. Agarwal, Q. Chi, S. J. Weiss, D. R. Sherwood, In Vivo Identification of Regulators of Cell Invasion Across Basement Membranes. Sci. Signal. 3, ra35 (2010).

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