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脂肪細胞のRhoおよびRhoキナーゼ活性は、機械的伸張が関与する可能性のある肥満の悪循環に寄与する

Rho and Rho-Kinase Activity in Adipocytes Contributes to a Vicious Cycle in Obesity That May Involve Mechanical Stretch

Research Article

Sci. Signal., 25 January 2011
Vol. 4, Issue 157, p. ra3
[DOI: 10.1126/scisignal.2001227]

Yoshikazu Hara1, Shu Wakino1*, Yoshiyuki Tanabe2, Maki Saito2, Hirobumi Tokuyama1, Naoki Washida1, Satoru Tatematsu1, Kyoko Yoshioka1, Koichiro Homma1, Kazuhiro Hasegawa1, Hitoshi Minakuchi1, Keiko Fujimura1, Koji Hosoya1, Koichi Hayashi1, Koichi Nakayama2, and Hiroshi Itoh1

1 Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University, Shinjuku-ku, Tokyo 160-8582, Japan.
2 Department of Molecular and Cellular Pharmacology, School of Pharmaceutical Sciences, Iwate Medical University, Iwate 028-3694, Japan.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: swakino@sc.itc.keio.ac.jp

要約:肥満の発生には、複数の機構が関与する。本稿では、そのような機構の1つとして、グアノシントリホスファターゼのRhoとそのエフェクターであるRhoキナーゼを介する脂肪細胞のシグナル伝達を同定した。高脂肪食(high-fat diet:HFD)を与えられたマウスは、低脂肪食を与えられたマウスに比べて、脂肪細胞におけるRhoキナーゼの活性の増大がみられた。Rhoキナーゼ阻害薬のファスジルで処置すると、HFDを与えられたマウスの体重増加とインスリン抵抗性が減弱した。ドミナントネガティブ型のRhoAを脂肪細胞特異的に過剰発現するトランスジェニックマウス(DN-RhoA TGマウス)では、野生型の同腹仔と比べて、脂肪細胞におけるRhoキナーゼ活性の低下、HFDによって誘導される体重増加の減少、グルコース代謝の改善がみられた。さらに、HFDを与えられた野生型の同腹仔に比べて、HFDを与えられたDN-RhoA TGマウスでは、脂肪細胞の肥大化の減少、マクロファージの脂肪組織への動員の減少、さまざまなアディポサイトカインをコードするmRNAの発現低下がみられた。培養脂肪細胞における脂質の蓄積には、Rhoキナーゼ活性の増大とアディポサイトカイン転写物量の増大が伴い、このような増大はRhoキナーゼの阻害薬によって回復した。成熟脂肪細胞に対して機械的伸張を直接適用すると、Rhoキナーゼ活性とストレス線維形成が増大した。ストレス線維形成は、HFDを与えられたマウスに由来する脂肪細胞でも観察されたが、Rhoキナーゼの阻害によって抑制されたほか、DN-RhoA TGマウスにおいても抑制された。今回の知見は、脂肪細胞内での脂質の蓄積が、少なくとも部分的には機械的伸張を介して、RhoからRhoキナーゼに至る(Rho-Rhoキナーゼ)シグナル伝達を活性化することを示しており、Rho-Rhoキナーゼシグナル伝達を肥満における脂肪組織の炎症性の変化と関係づけるものである。したがって、Rho-Rhoキナーゼシグナル伝達の抑制は、肥満に寄与して肥満を悪化させる脂肪細胞の伸張、Rho-Rhoキナーゼシグナル伝達、脂肪組織の炎症からなる悪循環を断つための治療法を提供するかもしれない。

Y. Hara, S. Wakino, Y. Tanabe, M. Saito, H. Tokuyama, N. Washida, S. Tatematsu, K. Yoshioka, K. Homma, K. Hasegawa, H. Minakuchi, K. Fujimura, K. Hosoya, K. Hayashi, K. Nakayama, H. Itoh, Rho and Rho-Kinase Activity in Adipocytes Contributes to a Vicious Cycle in Obesity That May Involve Mechanical Stretch. Sci. Signal. 4, ra3 (2011).

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