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低浸透圧条件下のラットバソプレッシンニューロンにおいて細胞体樹状突起からのAVP放出がV2受容体を介して果たす自己分泌機能

V2 Receptor-Mediated Autocrine Role of Somatodendritic Release of AVP in Rat Vasopressin Neurons Under Hypo-Osmotic Conditions

Research Article

Sci. Signal., 25 January 2011
Vol. 4, Issue 157, p. ra5
[DOI: 10.1126/scisignal.2001279]

Kaori Sato1,2, Tomohiro Numata2*, Takeshi Saito3, Yoichi Ueta3, and Yasunobu Okada1,2†

1 Department of Physiological Sciences, School of Life Science, Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI), Okazaki 444-8585, Japan.
2 Department of Cell Physiology, National Institute for Physiological Sciences, Okazaki 444-8585, Japan.
3 Department of Physiology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Kitakyushu 807-8555, Japan.

* Present address: Department of Synthetic Chemistry and Biological Chemistry, Graduate School of Engineering, Kyoto University, Katsura Campus, Kyoto 615-8510, Japan.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: okada@nips.ac.jp

要約:視床下部のアルギニンバソプレッシン(AVP)ニューロンは、浸透圧感受性ニューロンであり、血漿の浸透圧の上昇または低下に対して応答し、その軸索の終末からのAVPの放出をそれぞれ増大または低下させる。これとは対照的に、今回われわれは、低浸透圧ストレスが単離したラットAVPニューロンの細胞体樹状突起からのAVP分泌を亢進させ、この細胞体樹状突起からの放出がアクチンの脱重合に依存することを見出した。トランスジェニックな緑色蛍光タンパク質の発現によって同定されるAVPニューロンでは、低浸透圧刺激によってアニオン電流の活性化、およびゆっくりとした浸透圧性膨張後の細胞容積調節(RVD)が起こった。AVPを潅流液中に投与すると、容積感受性のアニオン電流が増大し、RVDが加速された。これらの作用は、アデニル酸シクラーゼの阻害またはV2型バソプレッシン受容体に特異的なアンタゴニストによって消失した。潅流液の体積が減少すると、V2受容体アンタゴニストは外因性AVPの非存在下でもAVPニューロンのRVD速度を低下させた。逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応および免疫染色法のいずれの方法によっても、AVPニューロンにV2受容体が存在することが示唆された。低浸透圧条件下での細胞体樹状突起からのAVP放出は、V2受容体を介して自己分泌シグナルとして作用し、容積感受性アニオンチャネルの活性を亢進させることによって細胞の容積調節を促進するとわれわれは結論付ける。

K. Sato, T. Numata, T. Saito, Y. Ueta, Y. Okada, V2 Receptor-Mediated Autocrine Role of Somatodendritic Release of AVP in Rat Vasopressin Neurons Under Hypo-Osmotic Conditions. Sci. Signal. 4, ra5 (2011).

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