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免疫細胞におけるVav1のリン酸化の調節による活性化受容体シグナル伝達と抑制性受容体シグナル伝達の統合

Integration of Activating and Inhibitory Receptor Signaling by Regulated Phosphorylation of Vav1 in Immune Cells

Research Article

Sci. Signal., 31 May 2011
Vol. 4, Issue 175, p. ra36
[DOI: 10.1126/scisignal.2001325]

Sven Mesecke1,2*, Doris Urlaub2*, Hauke Busch1, Roland Eils1,3, and Carsten Watzl2

1 Division of Theoretical Bioinformatics, German Cancer Research Center, 69120 Heidelberg, Germany.
2 Institute for Immunology, University of Heidelberg, 69120 Heidelberg, Germany.
3 Institute of Pharmacy and Molecular Biotechnology, BioQuant, University of Heidelberg, 69120 Heidelberg, Germany.

* These authors contributed equally to this work.
Present address: Freiburg Institute for Advanced Studies and Center for Biosystems Analysis, University of Freiburg, 79104 Freiburg, Germany.

Present address: Leibniz Research Center for Working Environment and Human Factors-IfADo, Ardeystrasse 67, 44139 Dortmund, Germany.

To whom correspondence should be addressed. E-mail: r.eils@dkfz.de (R.E.); watzl@uni-hd.de (C.W.)

要約:ナチュラルキラー(NK)細胞は、その活性化が活性化受容体と抑制性受容体からのシグナルの相互作用によって厳密に調節されている免疫系のエフェクター細胞である。活性化受容体からのシグナルはグアニンヌクレオチド交換因子Vav1のリン酸化を誘導するのに対して、抑制性受容体からのシグナルはSrcホモロジー2ドメイン含有プロテインチロシンホスファターゼ1(SHP-1)によるVav1の脱リン酸化を引き起こす。本研究では、数学的モデリングとNK細胞を用いた実験によって、分子レベルでの正のシグナルと負のシグナルの統合に関する洞察を得た。本研究のデータから、Vav1のリン酸化にはスイッチ様の調節が働き、その程度はNK細胞の細胞傷害活性と相関することが示された。このような実験結果を72個の数学的モデルから導いた予測と比較して、細胞傷害応答の発生にはSrcファミリーキナーゼとNK細胞上の活性化受容体との物理的会合が必須であることが示された。われわれのデータは、NK細胞の細胞傷害活性の決定におけるVav1の中心的役割を裏付け、リンパ球活性化の際の正のシグナルと負のシグナルの統合の分子的機構に関する洞察を与えるものである。

S. Mesecke, D. Urlaub, H. Busch, R. Eils, C. Watzl, Integration of Activating and Inhibitory Receptor Signaling by Regulated Phosphorylation of Vav1 in Immune Cells. Sci. Signal. 4, ra36 (2011).

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