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自閉症スペクトラム障害における翻訳調節経路とシナプスタンパク質のあいだの相互シグナル伝達

Reciprocal signaling between translational control pathways and synaptic proteins in autism spectrum disorders

Reviews

Sci. Signal., 28 October 2014
Vol. 7, Issue 349, p. re10
DOI: 10.1126/scisignal.2005832

Emanuela Santini and Eric Klann*

Center for Neural Science, New York University, New York, NY 10003, USA.

* Corresponding author. E-mail: ek65@nyu.edu

要約  自閉症スペクトラム障害(ASD)は、遺伝性の神経発達障害からなる不均一な群である。社会的相互作用スキルの不足、コミュニケーション能力の不足、儀式的な反復行動などのASD症状は、幼児期に現れ、一生を通じて続く。遺伝学的研究によって、少なくとも2つの遺伝子クラスターがASDおよび知的障害と高頻度で関連することが明らかにされている。すなわち、翻訳調節に関与するタンパク質をコードする遺伝子クラスターと、シナプス機能に関与するタンパク質をコードする遺伝子クラスターである。われわれは、これら2つの遺伝子クラスターで生じた変異が、神経細胞内で相互接続する下流のシグナル伝達経路に干渉してASDの総体的症状を引き起こすものと仮定する。このレビューでは、翻訳およびシナプス機能の調節に必要なタンパク質をコードする遺伝子の変異によって引き起こされる単一遺伝子型のASDについて考察する。具体的には、これらのタンパク質の機能、それらが調節する細胞内シグナル伝達経路、それらの変異に伴うシナプス特性および行動特性を特徴づけるために用いられる現在のマウスモデルについて記述する。そして最後に、ASDモデルにおけるmRNA翻訳とシナプス機能の関連を確立した最近の研究の概要をまとめ、一方の調節不全が他方に有害な影響を与えるものと提唱する。

E. Santini and E. Klann, Reciprocal signaling between translational control pathways and synaptic proteins in autism spectrum disorders. Sci. Signal. 7, re10 (2014).

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