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ミトコンドリアの逆行性シグナル伝達経路を解読するためのシステム手法

A Systems Approach for Decoding Mitochondrial Retrograde Signaling Pathways

Research Resources

Sci. Signal., 26 February 2013
Vol. 6, Issue 264, p. rs4
[DOI: 10.1126/scisignal.2003266]

Sehyun Chae1,2*, Byung Yong Ahn2*, Kyunghee Byun3*, Young Min Cho2, Myeong-Hee Yu4, Bonghee Lee3†, Daehee Hwang1,5,6†, and Kyong Soo Park2†

1 School of Interdisciplinary Bioscience and Bioengineering, Pohang University of Science and Technology, Pohang 790-784, Republic of Korea.
2 Department of Internal Medicine, Seoul National University College of Medicine, Seoul 110-799, Republic of Korea.
3 Center for Genomics and Proteomics & Stem Cell Core Facility, Lee Gil Ya Cancer and Diabetes Institute, Gachon University of Medicine and Science, Incheon 406-799, Republic of Korea.
4 Korea Institute of Science and Technology, Seoul 136-791, Republic of Korea.
5 Department of Chemical Engineering, Pohang University of Science and Technology, Pohang 790-784, Republic of Korea.
6 Integrative Biosciences and Biotechnology, Pohang University of Science and Technology, Pohang 790-784, Republic of Korea.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: dhhwang@postech.ac.kr (D.H.); kspark@snu.ac.kr (K.S.P.); bhlee@gachon.ac.kr (B.L.)

要約:ミトコンドリアの機能障害は、ミトコンドリアから核への逆行性シグナル伝達を活性化する。ミトコンドリアの逆行性シグナル伝達の基礎をなす転写因子とその関連経路を同定するために、われわれは、ロイシン転写RNA(tRNALeu)にA3243G変異(mt3243)を有するミトコンドリアDNAをさまざまな量で含有するように遺伝子操作された細胞の遺伝子発現プロファイリングを行なった。この変異は、ミトコンドリアゲノムにコードされている酸化的リン酸化に関与するタンパク質の量を減少させる。この変異をもつ細胞では、酸化的リン酸化の低下などのミトコンドリアの機能低下がみられ、その結果ミトコンドリアの多様な逆行性シグナル伝達経路が活性化されていると想像される。変異型tRNALeuを有する細胞の遺伝子発現プロファイルと、差次的に調節された遺伝子を認識する転写因子を解析することにより、われわれは、ミトコンドリアの逆行性シグナル伝達に関与している可能性のある72の転写因子を同定した。われわれは、RXRA(retinoid X receptor α、レチノイドX受容体α)、活性酸素種、キナーゼJNK(c-JUN N-terminal kinase、c-JUN N末端キナーゼ)、転写共役因子PGC1α(peroxisome proliferator–activated receptor γ, coactivator 1 α、およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ共役因子1α)が関与する逆行性シグナル伝達経路を、mt3243変異が誘導することを実験的に検証した。このRXR経路は、核ゲノムにコードされている酸化的リン酸化酵素のmRNA量の減少に寄与しており、それによって、ミトコンドリアにコードされた酸化的リン酸化酵素の量の減少によって引き起こされる酸化的リン酸化の機能障害を増悪させる。このように、差次的に調節される遺伝子の発現プロファイルと転写因子とのマッチングは、ミトコンドリアの逆行性シグナル伝達経路とそれらがミトコンドリアの機能障害において果たす役割を理解するため手法として有効であった。

S. Chae, B. Y. Ahn, K. Byun, Y. M. Cho, M.-H. Yu, B. Lee, D. Hwang, K. S. Park, A Systems Approach for Decoding Mitochondrial Retrograde Signaling Pathways. Sci. Signal. 6, rs4 (2013).

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