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「シェダーゼ」TACE(ADAM17)活性に対するバイオセンサーから新規の細胞種特異的TACE活性化機構を解明
A biosensor for the activity of the “sheddase” TACE (ADAM17) reveals novel and cell type–specific mechanisms of TACE activation
Sci. Signal., 24 February 2015
Vol. 8, Issue 365, p. rs1
DOI: 10.1126/scisignal.2005680
Douglas A. Chapnick, Eric Bunker, and Xuedong Liu*
Department of Chemistry and Biochemistry, 596 UCB, University of Colorado, Jennie Smoly Caruthers Biotechnology Building (JSCBB), 3415 Colorado Avenue, Boulder, CO 80303, USA.
* Corresponding author. E-mail: xuedong.liu@colorado.edu
要約 多様な環境条件が、タンパク質分解を介した細胞表面からのタンパク質の「シェディング」を刺激する。プロテアーゼTACE[ADAM17によりコードされる腫瘍壊死因子-α(TNFα)-変換酵素]はタンパク質のシェディングを媒介し、それにより多様な細胞応答を誘導する種々の細胞外基質(増殖因子、サイトカインなど)の成熟と放出を制御している。われわれは、生細胞内のTACE活性の動態を定量的に報告する、TSenと呼ばれる、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)に基づくバイオセンサーを開発した。ケミカルバイオロジーのアプローチを組み合わせ、Tsenを用いて、種々の上皮細胞株におけるキナーゼp38とERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)誘導への、TACE活性化の依存性を精査した。さらにTSenを用いることで、ケラチノサイトにおけるアクチン細胞骨格の破壊が、速やかで頑強なTSen切断ならびに原形質膜でのTACEの蓄積を誘導することを見いだした。また細胞骨格の破壊は、トランスフォーミング増殖因子-αを含む内因性TACE基質の切断も亢進していた。このようにTSenは、生細胞におけるTACEの時空間的な活性化の基礎にある機構の解明に、有用なツールである。
D. A. Chapnick, E. Bunker, and X. Liu, A biosensor for the activity of the "sheddase" TACE (ADAM17) reveals novel and cell type-specific mechanisms of TACE activation. Sci. Signal. 8, rs1 (2015).