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アダプタータンパク質NckのPECAM-1への動員が酸化ストレスを古典的NF-κBシグナル伝達と炎症につなげる

Recruitment of the adaptor protein Nck to PECAM-1 couples oxidative stress to canonical NF-κB signaling and inflammation

Research Article

Sci. Signal., 24 February 2015
Vol. 8, Issue 365, p. ra20
DOI: 10.1126/scisignal.2005648

Jie Chen1, Igor L. Leskov2, Arif Yurdagul Jr.3, Bonnie Thiel4, Christopher G. Kevil1,2,3, Karen Y. Stokes2, and A. Wayne Orr1,3,*

1 Department of Pathology, Louisiana State University (LSU) Health Sciences Center Shreveport, Shreveport, LA 71130, USA.
2 Department of Molecular and Cellular Physiology, LSU Health Sciences Center Shreveport, Shreveport, LA 71130, USA.
3 Department Cell Biology and Anatomy, LSU Health Sciences Center Shreveport, Shreveport, LA 71130, USA.
4 Department of Medicine, Case Western Reserve University, Cleveland, OH 44106, USA.

*Corresponding author. E-mail: aorr@lsuhsc.edu

要約 酸化ストレスは、虚血再灌流傷害などのいくつかの病的状態時の内皮細胞において、核内因子κB(NF-κB)の活性化とNF-κB依存性の炎症促進遺伝子の発現を刺激する。われわれは、Nckファミリーのアダプタータンパク質が、古典的IκBキナーゼ依存性経路を介して、チロシンキナーゼシグナル伝達を、酸化ストレス誘導性のNF-κB活性化に結び付けることを見出した。Nckが枯渇すると、外因性過酸化水素または低酸素/再酸素化傷害によって誘導された酸化ストレスによる、内皮細胞でのNF-κB活性化、炎症促進分子ICAM-1(細胞内接着分子-1)およびVCAM-1(血管細胞接着分子-1)の存在量増加、白血球の動員が阻止された。Nckの枯渇によって、炎症促進因子をコードする遺伝子の内皮細胞での発現も低下したが、抗酸化因子をコードする遺伝子の発現は低下しなかった。Nckは、PECAM-1(血小板内皮細胞接着分子-1)のチロシンリン酸化を、酸化ストレス誘導性NF-κBシグナル伝達を仲介するp21活性化キナーゼの活性化に結び付けることによって、酸化ストレス誘導性のNF-κB活性化を促進した。この機構と一致して、精巣挙筋に虚血再灌流傷害を与えたマウスに、Nck阻害ペプチドを投与すると、白血球の接着および遊出と付随する血管漏出が阻止された。総合すると、これらのデータから、Nckは酸化ストレス誘発性炎症の重要なメディエーターであり、また、虚血再灌流傷害に対する治療標的の候補であると同定される。

J. Chen, I. L. Leskov, A. Yurdagul, B. Thiel, C. G. Kevil, K. Y. Stokes, and A. W. Orr, Recruitment of the adaptor protein Nck to PECAM-1 couples oxidative stress to canonical NF-κB signaling and inflammation. Sci. Signal. 8, ra20 (2015).

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