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Merシグナル伝達は転写因子LXRの存在量を増加させて急性非感染性炎症の消散を促進する

Mer signaling increases the abundance of the transcription factor LXR to promote the resolution of acute sterile inflammation

Research Article

Sci. Signal., 24 February 2015
Vol. 8, Issue 365, p. ra21
DOI: 10.1126/scisignal.2005864

Ji-Yeon Choi1, Jeong Yeon Seo1,*, Young-So Yoon1,*, Ye-Ji Lee1, Hee-Sun Kim2, and Jihee Lee Kang1,†

1 Department of Physiology, Tissue Injury Defense Research Center, School of Medicine, Ewha Womans University, Seoul 158-056, Korea.
2 Department of Molecular Medicine, Tissue Injury Defense Research Center, School of Medicine, Ewha Womans University, Seoul 158-056, Korea.

† Corresponding author. E-mail: jihee@ewha.ac.kr

* These authors contributed equally to this work.

要約 受容体型チロシンキナーゼMerは、病原体に対する免疫細胞の炎症反応を抑制する際に中心的役割を果たす。われわれは、非感染性炎症の消散におけるMerシグナル伝達の機能を理解する目的で、ザイモサンによって誘導される急性非感染性炎症モデルにMer中和抗体またはMer欠損(Mer−/−)マウスを用いて実験を行った。われわれは、Merの抑制または欠損によって局所および全身の炎症反応が促進されることを見出した。Merシグナル伝達の欠如によって誘導される炎症反応の増悪には、転写因子の肝臓X受容体α(LXRα)とLXRβの存在量の減少と、腹腔マクロファージ、脾臓、肺におけるこれらの標的遺伝性の発現量の減少が伴った。同様に、MerのリガンドであるGas6(growth arrest-specific protein 6、増殖停止特異的タンパク質6)がMerに結合するのを防ぐMer/Fc融合タンパク質でマウスを処置すると、炎症反応は増悪し、LXR量は減少した。LXRアゴニストであるT0901317をMer中和抗体と同時投与すると、マウスの炎症に対する中和抗体の増悪作用は抑制された。RAW264.7細胞または初代腹腔マクロファージをin vitroでGas6に曝露させると、Akt依存的にLXR量が増加した。このように、われわれは、これまで特徴づけられていなかった急性非感染性炎症の消散に関与する経路を解明した。すなわち、回復期にMerシグナル伝達がLXRの存在量と活性を増大させ、マクロファージの炎症反応を不活性化するのである。

J.-Y. Choi, J. Y. Seo, Y.-S. Yoon, Y.-J. Lee, H.-S. Kim, and J. L. Kang, Mer signaling increases the abundance of the transcription factor LXR to promote the resolution of acute sterile inflammation. Sci. Signal. 8, ra21 (2015).

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