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トランスクリプトマインを用いて核内受容体シグナル伝達経路、遺伝子、組織の関連を発見する

Discovering relationships between nuclear receptor signaling pathways, genes, and tissues in Transcriptomine

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Sci. Signal. 25 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 476, eaah6275
DOI: 10.1126/scisignal.aah6275

Lauren B. Becnel1,*,†, Scott A. Ochsner2,*, Yolanda F. Darlington1, Apollo McOwiti1, Wasula H. Kankanamge1, Michael Dehart1, Alexey Naumov1,‡, and Neil J. McKenna2,§

1 Nuclear Receptor Signaling Atlas (NURSA) Informatics, Dan L. Duncan Cancer Center Biomedical Informatics Group, Baylor College of Medicine, One Baylor Plaza, Houston, TX 77030, USA.
2 NURSA Informatics, Department of Molecular and Cellular Biology, Baylor College of Medicine, One Baylor Plaza, Houston, TX 77030, USA.

§ Corresponding author. Email: nmckenna@bcm.edu

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Clinical Data Interchange Standards Consortium (CDISC), Austin, TX 78701, USA.

‡ Present address: Apple Inc., Cupertino, CA 95104, USA.

要約

われわれは以前、核内受容体シグナル伝達経路の低分子または遺伝子の操作に関連する発現プロファイルデータセットを探索するためにトランスクリプトマイン(Transcriptomine)というウェブツールを開発した。本稿では、このツールを用いて核内受容体シグナル伝達経路内のまだ特徴づけられていない生物学の発見を促進するバイオキュレーション、検索インターフェイスのデザイン、データ可視化の進展について説明する。トランスクリプトマインは、現在、公開アーカイブから検索され体系的に選別された約550件のデータセットから成る参照ライブラリに、2,000以上の実験を包む約4,500万件のデータポイントを搭載している。潜在的なデータポイントが実験系生物学者にとってより利用しやすいものになるように、われわれは、実験に用いられた低分子と遺伝子操作をシグナル伝達経路ごとに、実験に用いられた組織と細胞株を生理学的システムや器官ごとに分類した。このようなマッピングをトランスクリプトマインに取り入れたことによって、核内受容体シグナル伝達経路による遺伝子発現の組織特異的な制御を容易に評価できるようになる。動物や細胞モデル実験、臨床データセットから得られたデータポイントによって、細胞の多様な正常過程と病理過程に伴う遺伝子発現イベントにおける核内受容体経路の役割が明らかになる。さらに、非核内受容体シグナル伝達経路を標的とするデータセットによって、核内受容体と他のシグナル伝達経路との転写クロストークが浮き彫りになる。われわれは、個々のデータセットに分離して存在するデータポイントが、単一のインターフェイスで接続されて、ユーザーがアクセス可能になったときに相互に検証する方法を、特定の例を用いて示す。要約すると、トランスクリプトマインを用いることにより、実験系生物学者は日常的に研究仮説を立てたり、実験データを検証したり、シグナル伝達経路と遺伝子と組織との間の関係をモデル化することができる。

Citation: L. B. Becnel, S. A. Ochsner, Y. F. Darlington, A. McOwiti, W. H. Kankanamge, M. Dehart, A. Naumov, N. J. McKenna, Discovering relationships between nuclear receptor signaling pathways, genes, and tissues in Transcriptomine. Sci. Signal. 10, eaah6275 (2017).

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