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胚発生中の脳内皮細胞におけるバルクおよび単一細胞レベルでの遺伝子発現プロファイリング

Gene expression profiles of brain endothelial cells during embryonic development at bulk and single-cell levels

Research Resources

Sci. Signal. 11 Jul 2017:
Vol. 10, Issue 487, eaag2476
DOI: 10.1126/scisignal.aag2476

Mike Hupe1,2,*, Minerva Xueting Li1,3,†, Susanne Kneitz4, Daria Davydova5, Chika Yokota1,‡, Julianna Kele-Olovsson1,§, Belma Hot1,¶, Jan M. Stenman1, and Manfred Gessler2,6

1 Ludwig Institute for Cancer Research Ltd., Box 240, Stockholm SE-171 77, Sweden.
2 Developmental Biochemistry, Theodor Boveri Institute (Biocenter), University of Wuerzburg, Wuerzburg D-97074, Germany.
3 Department of Cell and Molecular Biology, Karolinska Institutet, Stockholm SE-171 77, Sweden.
4 Physiological Chemistry, Theodor Boveri Institute (Biocenter), University of Wuerzburg, Wuerzburg D-97074, Germany.
5 Institute for Clinical Neurobiology, University of Wuerzburg, Wuerzburg D-97078, Germany.
6 Comprehensive Cancer Center Mainfranken, University of Wuerzburg, Wuerzburg D-97074, Germany.

* Corresponding author. Email: mike.hupe@uni-wuerzburg.de

† Present address: Department of Clinical Sciences, Lunds Universitet, Lund SE-223 81, Sweden.

‡ Present address: Department of Medical Biochemistry and Biophysics, Karolinska Institutet, Stockholm SE-171 77, Sweden.

§ Present address: Department of Physiology and Pharmacology, Karolinska Institutet, Stockholm SE-171 77, Sweden.

¶ Present address: Department of Physiology and Pharmacology, Karolinska Institutet, Stockholm SE-171 77, Sweden.

要約
血液脳関門は脳を循環系から分ける動的な境界面であり、高度に特殊化した内皮細胞により形成されている。脳における血管の発生と分化という固有の性質を規定する分子機構を検討するため、われわれは翻訳リボソーム親和性精製法と単一細胞RNAシーケンシングを用いて、マウス胎児脳内皮細胞の高分解能の遺伝子発現プロファイルを作成した。また、脳血管のトランスラトームを他の器官の血管トランスラトームと比較し、胚発生の様々な時点における脳の血管トランスラトームを解析した。古典的Wntシグナル伝達は血液脳関門の形成に関与していることから、われわれはさらに野生型マウスの脳内皮のトランスラトームを転写補助因子β-カテニン(Ctnnb1)欠損マウスのそれと比較した。解析の結果、脳内皮の胚発生の間に広範な分子変化が生じていることが明らかにされた。われわれは、血液脳関門の成熟と関連し、Wnt-β-カテニンシグナル伝達経路の下流で働く内皮特異的転写因子(Foxf2Foxl2Foxq1Lef1PpardZfp551およびZic3)をコードする遺伝子を同定した。個々の脳内皮細胞のプロファイリングから、集団における大幅な不均一性が明らかになった。とはいえ、Foxf2Foxq1PpardまたはZic3転写産物の存在量が多いことは、脳内皮細胞分化のマーカーをコードする遺伝子の高発現と関連していた。ヒト臍帯静脈内皮細胞におけるFoxf2およびZic3の発現は、血液脳関門の分化マーカーの産生を誘導した。この包括的データセットは、in vitroの血液脳関門モデルの作製の改善に役立つかもしれない。

Citation: M. Hupe, M. X. Li, S. Kneitz, D. Davydova, C. Yokota, J. Kele-Olovsson, B. Hot, J. M. Stenman, M. Gessler, Gene expression profiles of brain endothelial cells during embryonic development at bulk and single-cell levels. Sci. Signal. 10, eaag2476 (2017).

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