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細胞生物学
ミトコンドリアのRbがアポトーシスを促進する
Cell Biology
Mitochondrial Rb Promotes Apoptosis
Sci. Signal., 28 May 2013
Vol. 6, Issue 277, p. ec118
[DOI: 10.1126/scisignal.2004367]
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
K. I. Hilgendorf, E. S. Leshchiner, S. Nedelcu, M. A. Maynard, E. Calo, A. Ianari, L. D. Walensky, J. A. Lees, The retinoblastoma protein induces apoptosis directly at the mitochondria. Genes Dev. 27, 1003-1015 (2013). [Abstract] [Full Text]
L. D. Attardi, J. Sage, RB goes mitochondrial. Genes Dev. 27, 975-979 (2013). [Abstract] [Full Text]
腫瘍抑制因子網膜芽細胞腫(Rb)は、細胞周期の進行を阻害し、アポトーシス促進性遺伝子の発現を促進する、転写コレギュレーターである。Hilgendorfらは、Rbが、ミトコンドリアでもアポトーシス促進の機能を果たすことを見出した。彼らは、不死化ラット線維芽細胞と初代ヒトIMR90線維芽細胞を用いて、Rbの過剰発現により、タンパク質翻訳阻害剤シクロヘキシミドの存在下であっても、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)に応答した細胞死が増強されること、また、内因性Rbをノックダウンすると、TNF-α誘導性の細胞死が減少することを示した。マウス胚線維芽細胞において細胞死を仲介するRbの能力には、ミトコンドリア外膜の透過化を促進するアポトーシス促進性タンパク質Baxが必要であった。Baxと同様に、Rbは、マウス肝から得た可溶化液のミトコンドリア外膜画分に存在した。培養細胞およびリポソームを用いた実験は、RbがBaxの膜透過化活性を促進することと一致した。BaxとRbはIMR90細胞可溶化液から免疫共沈降され、in vitro結合実験では、RbがBaxと直接的に相互作用し、その活性コンホメーションへの変換を促進することが示唆された。マウスにおいて、ミトコンドリアのみに局在する改変型Rbの遺伝子導入による発現は、Rb-/-;p53-/-骨肉腫異種移植片の増殖を阻害した。このようなRbの非転写的役割は、同じくミトコンドリアで非転写的機構を介してアポトーシスを促進する転写因子p53の役割と類似している。関連する解説記事では、AttardiとSageが、Rb研究の歴史を背景にこれらの結果を考察している。
A. M. VanHook, Mitochondrial Rb Promotes Apoptosis. Sci. Signal. 6, ec118 (2013).