• ホーム
  • 宿主病原体相互作用 エボラが抗ウイルスシグナル伝達を遮断する方法

宿主病原体相互作用
エボラが抗ウイルスシグナル伝達を遮断する方法

Host-pathogen Interactions
How Ebola Shuts Down Antiviral Signaling

Editor's Choice

Sci. Signal., 19 August 2014
Vol. 7, Issue 339, p. ec216
DOI: 10.1126/scisignal.2005807

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

W. Xu, M. R. Edwards, D. M. Borek, A. R. Feagins, A. Mittal, J. B. Alinger, K. N. Berry, B. Yen, J. Hamilton, T. J. Brett, R. V. Pappu, D. W. Leung, C. F. Basler, G. K. Amarasinghe, Ebola virus VP24 targets a unique NLS binding site on karyopherin alpha 5 to selectively compete with nuclear import of phosphorylated STAT1. Cell Host Microbe 16, 187–200 (2014). [PubMed]

M. D. Daugherty, H. S. Malik, How a virus blocks a cellular emergency access lane to the nucleus, STAT! Cell Host Microbe 16, 150–152 (2014). [PubMed]

インターフェロンは、抗ウイルス免疫応答の主要なエフェクターであり、ウイルスに感染した細胞から放出され、シグナル伝達性転写因子1(STAT1)およびSTAT2のリン酸化、二量体化、核内移行を引き起こすことによって抗ウイルス遺伝子の転写を刺激する。エボラウイルスは、このインターフェロンに媒介される抗ウイルス応答を遮断するので、極めて急速に増殖し、インターフェロンによる治療は無効である。核内に輸送されるタンパク質の大半には、カリオフェリンα(KPNAまたはインポーチンαとしても知られる)ファミリーのメンバーによって認識され、それらによる核内移行を仲介する、典型的な核内移行シグナル(cNLS)配列が含まれる。しかし、STATにはcNLS配列は含まれない。かわりにSTATは、リン酸化STATの二量体化によって形成され、KPNAファミリー核内輸送受容体のKPNA1、KPNA5、KPNA6のサブセットによって認識される、まだほとんど特徴づけされていない非典型的なNLS(ncNLS)に依存する。エボラウイルスのVP24タンパク質(eVP24)は、KPNA1、KPNA5、KPNA6に結合してリン酸化STAT1(pSTAT1)の核内移行を阻害する。Xuらは、KPNA5のC末端部に結合したeVP24の結晶構造を解析し、エボラウイルスが宿主の抗ウイルス応答を遮断する方法だけでなく、KPNAがncNLS含有タンパク質を認識する方法についても、解明の糸口を見出した。その構造から、eVP24が結合するKPNA5のドメインは、KPNA5とcNLS含有タンパク質との結合を仲介するドメインとは異なることがわかった。eVP24との結合を仲介するKPNA5の残基は、KPNA1およびKPNA6でも保存されていたが、cNLS含有タンパク質のみと結合するKPNAでは保存されていなかった。これらのeVP24結合残基は、in vitroでKPNA5へのpSTAT1の結合も仲介した。KPNA5と接触するeVP24の残基を変異させると、pSTAT1の核内蓄積の阻害は減少し、インターフェロン誘導性レポーター遺伝子の発現を阻害するeVP24の能力は損なわれた。免疫共沈降実験では、eVP24は細胞内でKPNA5との結合をめぐってpSTAT1と競合するが、cNLSペプチドとは競合しないことが示された。これは、cNLSに依存して核内に輸送されるウイルスまたは宿主のタンパク質の核内輸送をeVP24が干渉しないことを意味する。エボラウイルスと近縁関係にあるもうひとつのフィロウイルスであるマールブルグウイルスは、インターフェロンシグナル伝達と拮抗しない。構造および配列の比較から、マールブルグウイルスのVP24(mVP24)は、eVP24のKPNA5への結合を仲介する領域がeVP24と異なることがわかった。DaughertyとMalikによる解説(Commentary)では、ncNLSに仲介されるSTATの核内移行は、ウイルス感染中にSTAT1の核内移行とcNLS依存性核内移行の機構が競合することのないように進化してきたのかもしれないことが指摘されている。

A. M. VanHook, How Ebola Shuts Down Antiviral Signaling. Sci. Signal. 7, ec216 (2014).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2014年8月19日号

Editor's Choice

宿主病原体相互作用
エボラが抗ウイルスシグナル伝達を遮断する方法

Research Article

ErbB4 CYT2バリアントはEGFRをリガンド誘導性の分解から保護してがん細胞の運動を促進する

休止B細胞の細胞内小胞におけるアダプターSLP-65の高分子集合

TNFスーパーファミリーメンバーによるシグナル伝達阻害の1戦略としての受容体オリゴマー形成の操作

Perspectives

デザイナー「サイトカイン拮抗薬」でRANKを出し抜く

最新のEditor's Choice記事

2018年5月1日号

小胞体ストレスががんを阻害するとき

2018年4月24日号

新たなつながり:ユーイング肉腫の「ドライバー」がそのアキレス腱である

2018年4月17日号

PD-1シグナル伝達を再検討する

2018年4月10日号

新たなつながり:単純なシグナル伝達系の複雑性

2018年4月3日号

新たなつながり:サイトカインは共有することを学ぶ