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TNFスーパーファミリーメンバーによるシグナル伝達阻害の1戦略としての受容体オリゴマー形成の操作

Manipulation of receptor oligomerization as a strategy to inhibit signaling by TNF superfamily members

Research Article

Sci. Signal., 19 August 2014
Vol. 7, Issue 339, p. ra80
DOI: 10.1126/scisignal.2004948

Julia T. Warren1, Christopher A. Nelson1, Corinne E. Decker2, Wei Zou1, Daved H. Fremont1,3,*, and Steven L. Teitelbaum1,4,*

1 Department of Pathology and Immunology, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
2 Department of Orthopaedic Surgery, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
3 Department of Biochemistry and Molecular Biophysics, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.
4 Division of Bone and Mineral Diseases, Department of Medicine, Washington University School of Medicine, St. Louis, MO 63110, USA.

* Corresponding author. E-mail: fremont@pathology.wustl.edu (D.H.F.); teitelbs@wustl.edu (S.L.T.)

要約 核因子κB受容体アクチベーター(RANK)がそのリガンドであるRANKL[サイトカインの腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーのメンバー]に反応することで生じるシグナル伝達は、破骨細胞の形成と骨吸収を刺激する。そのためにこのリガンド-受容体ペアは、骨粗鬆症およびがんの骨転移など種々の疾患に対する治療標的である。RANKLは生理的にはホモ三量体として存在し、各モノマーがRANKの単一分子、または破骨細胞形成を阻害するデコイ受容体のオステオプロテゲリン(OPG)を認識する。われわれは、RANKLの全3つのモノマーを単一のポリペプチド鎖としてコードするRANKLタンパク質を作製し、これにより各結合部での受容体結合を独立してコントロールすることを可能にした。効果的なRANK阻害薬を作製するため、バイアスのない順遺伝学的アプローチを用い、RANKに対する親和性が500倍であるがデコイ受容体OPGに対する親和性は低い、RANKLの突然変異体を特定した。受容体結合を遮断する変異を、この高親和性RANKL変異体に組み込むことで、in vitroにおける野生型RANKL誘発性破骨細胞形成並びにマウスの骨吸収を完全に阻害する、RANKL変異体を作製した。われわれのとったアプローチを一般化することで、幅広い病態に関与しているその他のTNF受容体シグナル伝達システムを阻害できるかもしれない。

J. T. Warren, C. A. Nelson, C. E. Decker, W. Zou, D. H. Fremont, and S. L. Teitelbaum, Manipulation of receptor oligomerization as a strategy to inhibit signaling by TNF superfamily members. Sci. Signal. 7, ra80 (2014).

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