IRE1αで細胞を動かす

Making cells move with IRE1α

Editor's Choice

Sci. Signal. 28 Aug 2018:
Vol. 11, Issue 545, eaav1986
DOI: 10.1126/scisignal.aav1986

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Urra, D. R. Henriquez, J. Cánovas, D. Villarroel-Campos, A. Carreras-Sureda, E. Pulgar, E. Molina, Y. M. Hazari,C. M. Limia, S. Alvarez-Rojas, R. Figueroa, R. L. Vidal, D. A. Rodriguez, C. A. Rivera, F. A. Court, A. Couve, L. Qi, E.Chevet, R. Akai, T. Iwawaki, M. L. Concha, Á. Glavic, C. Gonzalez-Billault, C. Hetz, IRE1α governs cytoskeleton remodelling and cell migration through a direct interaction with filamin A. Nat. Cell Biol. 20, 942-953 (2018). Google Scholar

IRE1αは小胞体ストレス応答のトランスデューサーとしての機能とは独立して細胞遊走を促進する。

要約

小胞体(ER)ストレス応答は3種類のトランスデューサーによって引き起こされる。そのうちの1つが、キナーゼ活性とエンドヌクレアーゼ活性を有するタンパク質IRE1αである。Urraらは、IRE1αの結合パートナーとしてアクチン架橋タンパク質フィラミンAを同定した。IRE1α欠損細胞では、フィラミンAに依存した遊走に異常がみられた。フィラミンAはSer2152がリン酸化されると細胞骨格を再構築する能力が高まるが、IRE1αはPKCαによるこの部位のリン酸化を促進した。この作用は、IRE1αのヌクレアーゼ活性、キナーゼ活性、ERストレス応答におけるIRE1αの下流エフェクターである転写因子XBP1など、IRE1αがERストレス応答を媒介するために必要な因子とは独立していた。そのかわり、IRE1αがフィラミンAのリン酸化と細胞遊走を促進するためには二量体化が必要であった。IRE1αをノックダウンさせると、ショウジョウバエ(Drosophila)では血球の遊走が損なわれ、発生中のゼブラフィッシュ胚では形態形成のための細胞運動が損なわれたことから、細胞遊走におけるIRE1αの役割は進化的に保存されていた。FLNAに変異が生じると、ニューロンは脳室から正常に移動せず、皮質の異常形成をきたす疾患である脳室周囲結節性異所性灰白質が引き起こされる。IRE1αの遺伝子を除去したマウスでは皮質の厚みが減少していた。この表現型は、ニューロンの移動障害と合致する。同様に、子宮内でIRE1αをノックダウンされたマウスではニューロン移動が減少し、この異常は野生型フィラミンAを発現させると回復したが、リン酸化できないS2152A変異型フィラミンAを発現させても回復しなかった。これらの結果は、IRE1αが細胞遊走に関与しており、それがフィラミンAとの相互作用によって調節されていること、そしてこの役割がERストレス応答のトランスデューサーとしてのIRE1αの機能とは独立していることを示している。

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