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RORγtは発生中の胸腺細胞において生存促進因子Bcl-xLを介してサイトカイン受容体γcの量を制限する
RORγt limits the amount of the cytokine receptor γc through the prosurvival factor Bcl-xL in developing thymocytes
Sci. Signal. 28 Aug 2018:
Vol. 11, Issue 545, eaam8939
DOI: 10.1126/scisignal.aam8939
Davinna L. Ligons*,†, SuJin Hwang*, Adam T. Waickman, Joo-Young Park, Megan A. Luckey, and Jung-Hyun Park‡
Experimental Immunology Branch, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
‡ Corresponding author. Email: parkhy@mail.nih.gov
* These authors contributed equally to this work.
† Present address: Center for Drug Evaluation and Research, U.S. Food and Drug Administration, White Oak, MD 20903, USA.
要約
サイトカイン受容体サブユニットγcは、T細胞の生存と分化にきわめて重要なシグナルを出す。われわれは、胸腺におけるT細胞発生中のγcの細胞表面存在量を制御する分子機構を検討した。正の選択により成熟T細胞になる前の、CD4+CD8+ダブルポジティブ(DP)胸腺細胞では、γc量が低いことが見出された。未成熟DP胸腺細胞には転写因子RORγtが豊富に存在し、これを欠失させると、選択前DP細胞特異的に、表面γcの存在量が増加した。RORγtは、γcをコードする遺伝子の発現を直接抑制するのではなく、抗アポトーシスタンパク質Bcl-xLを介して作用し、表面γcの存在量を低下させることにより、サイトカインシグナル伝達を減少させ、細胞代謝とミトコンドリア新生の抑制をもたらした。したがって、RORγt欠損胸腺細胞にBcl-xLを過剰発現させると、表面γc量が、正常な選択前DP細胞に存在する量まで戻した。総合すると、これらのデータは、細胞表面のγc存在量の制限におけるRORγtとBcl-xLのこれまで認識されていなかった役割を強調し、生存因子が、いくつかのサイトカインに共有される受容体サブユニットの存在量と表面分布を制限することによってサイトカインシグナル伝達を制御する、シグナル伝達回路を明らかにしている。
Citation: D. L. Ligons, S. Hwang, A. T. Waickman, J.-Y. Park, M. A. Luckey, J.-H. Park, RORγt limits the amount of the cytokine receptor γc through the prosurvival factor Bcl-xL in developing thymocytes. Sci. Signal. 11, eaam8939 (2018).