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新たなつながり:治療の統合的探索

New connections: Integrated search for therapies

Editor's Choice

Sci. Signal. 25 Sep 2018:
Vol. 11, Issue 549, eaav4963
DOI: 10.1126/scisignal.aav4963

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

E. Stewart, J. McEvoy, H. Wang, X. Chen, V. Honnell, M. Ocarz, B. Gordon, J. Dapper, K. Blankenship, Y. Yang, Y. Li,T. I. Shaw, J.-H. Cho, X. Wang, B. Xu, P. Gupta, Y. Fan, Y. Liu, M. Rusch, L. Griffiths, J. Jeon, B. B. Freeman III, M. R.Clay, A. Pappo, J. Easton, S. Shurtleff, A. Shelat, X. Zhou, K. Boggs, H. Mulder, D. Yergeau, A. Bahrami, E. R.Mardis, R. K. Wilson, J. Zhang, J. Peng, J. R. Downing, M. A. Dyer; St. Jude Children's Research Hospital - Washington University Pediatric Cancer Genome Project, Identification of therapeutic targets in rhabdomyosarcoma through integrated genomic, epigenomic, and proteomic analyses. Cancer Cell 34, 411-426.e19 (2018). Google Scholar

T. Purzner, J. Purzner, T. Buckstaff, G. Cozza, S. Gholamin, J. M. Rusert, T. A. Hartl, J. Sanders, N. Conley, X. Ge,M. Langan, V. Ramaswamy, L. Ellis, U. Litzenburger, S. Bolin, J. Theruvath, R. Nitta, L. Qi, X.-N. Li, G. Li, M. D.Taylor, R. J. Wechsler-Reya, L. A. Pinna, Y.-J. Cho, M. T. Fuller, J. E. Elias, M. P. Scott, Developmental phosphoproteomics identifies the kinase CK2 as a driver of Hedgehog signaling and a therapeutic target in medulloblastoma. Sci. Signal. 11, eaau5147 (2018). Abstract/FREE Full TextGoogle Scholar

「オミクス」解析と発生モデルの統合によって、進行がんに対する治療標的が明らかになっている。

要約

分析技術、分子技術、生化学技術の進歩により、がん研究への「マルチオミクス」アプローチが可能となり、生物学者と臨床医には、遺伝学とプロテオミクスからみた腫瘍像に関するより幅広くより深い見解がもたらされている。同時に、1細胞および動物モデル研究の進歩により、種々のがんには、罹患組織における幹細胞様前駆細胞の増殖を伴う発生起源があることが明らかにされている。2件の研究において、これらの技術と手法が統合され、現時点で治療がほとんど存在しない2種類の進行がんについて、発生のタイミング、起源、ドライバーが検討されている。Stewartらは、骨格筋に発生する進行性小児がんである横紋筋肉腫(RMS)の2つのモデルにおいて、ゲノミクス、エピゲノミクス、プロテオミクス解析を行った。その結果から、RMS細胞ではさまざまな経路(RAS-MEK-ERK-CDK4/6経路、小胞体ストレス応答経路、有糸分裂チェックポイント経路など)の活性に異常があることが明らかになった。検討されたさまざまな薬剤のうち、キナーゼWEE1の阻害剤(有糸分裂チェックポイントを障害する)を用いる化学療法の併用が、マウスにおける同所性患者由来異種移植片の増殖の阻止にもっとも有効であった。さらに、エピゲノミクスおよびゲノミクス解析では、筋肉の発生プログラム通りに、胚性RMSよりも、肺胞RMS(ARMS、その多くがFOXO1:PAX3融合タンパク質を発現する)がより出現することが示され、これらの異なる型のRMSを有する患者に対して、有用となる可能性のある診断マーカーとさらなる標的が明らかにされた。これらの結果は、RMS患者に対するより標的化されたサブタイプ特異的な治療につながる可能性がある。

Science SignalingのArchivesでは、Purznerらが、髄芽腫(MB)発生マウスモデルにおいてホスホプロテオミクスを実施していた。MBの発生上の起源細胞であるマウス顆粒ニューロン前駆細胞(GNP)において、プロテインキナーゼCK2が、GNP成長のMB様増殖期に多数のリン酸化事象を仲介し、そのリン酸にはMBで増幅されることの多い3つのタンパク質のリン酸化も含まれていた。CK2は、ソニックヘッジホッグ(SHH)シグナル伝達のエフェクターである転写因子GLI2の安定化と活性を促進した。MBのSHH駆動型サブタイプはとくに進行が速く、薬剤耐性を示す。CK2阻害剤は、SHH型のヒトおよびマウスMB細胞の増殖を阻止し、担がんマウスにおいては生存期間を著しく延長させ、忍容性が高かった。薬剤の1つは、変異CK2を有する腫瘍の増殖も阻止したことから、通常の薬剤耐性機構に影響されにくいことが示唆された。この薬剤を小児患者で検討する臨床試験が現在行われている。これらの研究は、いずれも国中そして世界中(Purznerら)の多数の研究者が携わっており、領域横断的な多施設共同研究が、がん研究を患者にとって意味のある形で前に進めるために有用であることを強調している。

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