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サイトカイン産生の促進
Promoting cytokine production
Sci. Signal. 09 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 551, eaav6248
DOI: 10.1126/scisignal.aav6248
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
A. Dempsey, S. E. Keating, M. Carty, A. G. Bowie, Poxviral protein E3-altered cytokine production reveals that DExD/H-box helicase 9 controls Toll-like receptor-stimulated immune responses. J. Biol. Chem. 293, 14989-15001 (2018).
Abstract/FREE Full Text Google Scholar
ヘリカーゼDHX9はToll様受容体刺激に応答したサイトカインIL-6の産生に必要である。
要約
多様なパターン認識受容体(PRR)がウイルス感染を感知し、インターフェロンやインターロイキン6(IL-6)をコードする遺伝子など、抗ウイルス免疫反応に必要な遺伝子の発現を促進する経路を刺激する。多くのウイルスは、PRRシグナル伝達経路に関与する宿主タンパク質を標的とすることによってこのような反応を阻害するエフェクタータンパク質をコードしている。ワクシニアウイルス(VACV)エフェクタータンパク質E3は、ウイルスの複製と病原性に必要であるが、宿主細胞におけるその標的のすべてが特徴づけられているわけではない。Dempseyらは、E3を過剰発現するヒト単球細胞株を確立し、PRRファミリーに属する多様なToll様受容体(TLR)を介した刺激に対するその細胞株の応答の特徴を明らかにした。そして、E3はTLR8刺激に応答して複数のサイトカインの産生を抑制する一方で、別の複数のTLR刺激に応答してIL-6産生をとくに抑制することを見出した。VACVに感染したマウス胚線維芽細胞の質量分析では、E3が十分に特徴づけられている樹状細胞のウイルス核酸センサーDExD/Hボックスヘリカーゼ9(DHX9)に結合することを明らかにした。単球細胞株のDHX9をノックダウンすると、E3を過剰発現した場合の表現型が模写された。したがって、DHX9はTLR8に依存したサイトカイン産生に必要であるが、別の複数のTLR刺激に応答したIL-6産生にも必要である。ルシフェラーゼレポーターアッセイでは、DHX9がIl6プロモーターの核因子κB(NF-κB)応答エレメントの存在に依存する形でIl6の発現を誘導することが示された。さらに、E3を発現させると、TLR8によって刺激されるNF-κB依存性のレポーター遺伝子の誘導が抑制され、IL-6産生が減少したことから、E3がDHX9のトランス活性化作用を弱めうることが示された。まとめるとこれらのデータは、DHX9が多様なTLR刺激に応答したIl6の発現を促進する一方で、TLR8シグナル伝達を調節する際に受容体近位でも役割も果たしている可能性があることを示唆している。