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プロテインキナーゼp38αはp63を不安定化し表皮幹細胞の頻度および腫瘍形成能を制限する

The protein kinase p38α destabilizes p63 to limit epidermal stem cell frequency and tumorigenic potential

Research Article

Sci. Signal. 09 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 551, eaau0727
DOI: 10.1126/scisignal.aau0727

Min-Kyung Choo1, Stefan Kraft2, Caterina Missero3,4, and Jin Mo Park1,*

1 Cutaneous Biology Research Center, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Charlestown, MA 02129, USA.
2 Department of Pathology, Massachusetts General Hospital, Boston, MA 02114, USA.
3 CEINGE Biotecnologie Avanzate, 80145 Napoli, Italy.
4 Department of Biology, University of Naples Federico II, 80126 Napoli, Italy.

* Corresponding author. Email: jmpark@cbrc2.mgh.harvard.edu

要約

組織発生および恒常性維持を指示する分子回路は、遺伝子プログラムに組み込まれているが、環境条件による微調整または大きな修飾を受けることもある。このような順応性が働き、とくに環境に直接接している組織において、最適な維持と回復力に貢献しているかどうかは、依然として不明である。プロテインキナーゼp38αは、組織損傷および腫瘍性形質転換をシグナル伝達する生理学的合図によって活性化される。本研究において、われわれは、p38αが、表皮発生に必須の転写因子であるp63をリン酸化し、それによって不安定化させることを見出した。この調節機構を介して、p38αは、幹細胞特性および腫瘍形成能をもつケラチノサイトの頻度を制限した。それに対応して、表皮におけるp38αの発現または活性の喪失は、それぞれ、マウスおよびヒト皮膚における発がんを促進または発がんと相関した。遺伝学的マウスモデルは、p63によるマトリックスメタロプロテアーゼMMP13の抑制によって、p38α欠失に起因する腫瘍形成機構を明らかにした。これらの知見は、ストレス活性化シグナル伝達が幹細胞様ケラチノサイトプールの縮小を誘導するという、これまでに解明されていない表皮腫瘍抑制機構を示している。

Citation: M.-K. Choo, S. Kraft, C. Missero, J. M. Park, The protein kinase p38α destabilizes p63 to limit epidermal stem cell frequency and tumorigenic potential. Sci. Signal. 11, eaau0727 (2018)

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