• ホーム
  • 予め会合したGPCRシグナル伝達複合体が超低濃度のリガンドに対する特徴的な細胞応答を媒介する

予め会合したGPCRシグナル伝達複合体が超低濃度のリガンドに対する特徴的な細胞応答を媒介する

Preassembled GPCR signaling complexes mediate distinct cellular responses to ultralow ligand concentrations

Research Article

Sci. Signal. 09 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 551, eaan1188
DOI: 10.1126/scisignal.aan1188

Srgjan Civciristov1, Andrew M. Ellisdon2, Ryan Suderman3, Cindy K. Pon1, Bronwyn A. Evans1, Oded Kleifeld2,4, Steven J. Charlton5,6, William S. Hlavacek3, Meritxell Canals1, and Michelle L. Halls1,*

1 Drug Discovery Biology Theme, Monash Institute of Pharmaceutical Sciences, Monash University, Parkville, Victoria 3052, Australia.
2 Biomedicine Discovery Institute and Department of Biochemistry and Molecular Biology, Monash University, Clayton, Victoria 3800, Australia.
3 Theoretical Biology and Biophysics Group, Theoretical Division and Center for Nonlinear Studies, Los Alamos National Laboratory, Los Alamos, NM 87545, USA.
4 Faculty of Biology, Technion-Israel Institute of Technology, Technion City, Haifa 3200003, Israel.
5 Cell Signalling Research Group, School of Life Sciences, University of Nottingham, Queen's Medical Centre, Nottingham NG7 2UH, UK.
6 Excellerate Bioscience Ltd, MediCity, Nottingham NG90 6BH, UK.

* Corresponding author. Email: michelle.halls@monash.edu

要約

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、細胞表面シグナル伝達タンパク質の最大クラスで、ほぼすべての生理学的プロセスに関連しており、30%の市販薬の標的となっている。通常、実験系では、ナノモルからマイクロモル濃度のリガンドを用いてGPCRを活性化する。本研究では、GPCR刺激による環状アデノシン一リン酸(cAMP)産生を高い時空間解像度で測定することによって、アトモルからミリモルの広範囲なリガンド濃度に対するGPCRの応答を検出した。数学的モデリングの結果、細胞が1つまたは2つの結合イベントによって活性化される場合、フェムトモル濃度のリガンドが集団の平均40%の細胞を活性化することが示された。さらに、細胞株およびヒト線維芽細胞におけるフェムトモル濃度のリガンドによる内因性β2-アドレナリン受容体(β2AR)及びムスカリンアセチルコリンM3受容体(M3R)の活性化によって、それぞれ、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)およびサイトゾルタンパク質キナーゼC(PKC)活性の核移行が持続的に増加した。これらの応答は、より高濃度のリガンドに対する応答とは時空間的に異なるものであり、特徴的な細胞プロテオミクスプロファイルをもたらした。この高感受性シグナル伝達は、細胞膜で予め会合したGPCRの高次シグナル伝達複合体形成に依存している。GPCRが超低濃度の神経伝達物質およびホルモンに応答することを認識することは、確立された薬物作用パラダイムへの挑戦であり、これにより、高濃度のリガンドで通常認められるものとは全く異なる、これまで認められていなかったGPCR活性化の側面を明らかになる。

Citation: S. Civciristov, A. M. Ellisdon, R. Suderman, C. K. Pon, B. A. Evans, O. Kleifeld, S. J. Charlton, W. S. Hlavacek, M. Canals, M. L. Halls, Preassembled GPCR signaling complexes mediate distinct cellular responses to ultralow ligand concentrations. Sci. Signal. 11, eaan1188 (2018).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2018年10月9日号

Editor's Choice

サイトカイン産生の促進

Research Article

IL-17はRNA結合タンパク質Arid5aを介して複数の自己強化型フィードフォワード機構を統合する

プロテインキナーゼp38αはp63を不安定化し表皮幹細胞の頻度および腫瘍形成能を制限する

ネラチニブはERBB2(HER2)の増幅と変異の両方を有する乳がんに有効

予め会合したGPCRシグナル伝達複合体が超低濃度のリガンドに対する特徴的な細胞応答を媒介する

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する